INSTANT KARMA

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2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Strange Job

荻窪の古本屋で大江健三郎の初期短編集の文庫を買って、『奇妙な仕事』、『動物倉庫』、『鳩』、『見る前に跳べ』、『鳥』まで読んだ。 『奇妙な仕事』について、小谷野敦は、「奇蹟の処女作であり、人間存在のざらりとした感触を、日本文学にかつてない表現…

SOULLESS MEN

大江健三郎の『取り替え子』を読んでいて、大江作品によく登場する「批判的なジャーナリスト」が気になってネットで調べたら、本多勝一のことらしい。本多の執拗な批判は大江のメンタルに相当堪えたようだ。 本多勝一も大江健三郎も大きく括れば左翼の人なの…

Swimming Man

妻の蔵書の中から大江健三郎の著作集を承諾を得て引っ張り出し、『静かな生活』、『雨の木を聴く女たち』を読み始めた。この著作集(大江にはいくつかの全集が出ているようでこれが決定版と言う訳でもないようだ)には他に『新しい人よ目覚めよ』も入ってい…

伸予

高橋揆一郎『伸予』という小説を読んだ。 第79回芥川賞受賞作品で、小谷野敦が名作と呼び最高レベルの評価を与えていることから、図書館で借りて読んでみた。 確かに文体がきびきびしていて読み易く、引きこまれる。内容的にも名作短編と呼ぶに相応しい。 49…

萌えよ剣を思い出した(違うか)

第164回芥川賞を受賞した宇佐見りん『推し、燃ゆ』は是非読んでみたいが、 アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。 という話だから、家で読んでいるのがバレたらガチのアイドルヲタである娘は嫌がるだろうな… 小…

私の東京物語(10)

第10話 中野はお笑いの劇場がたくさんある街です。二十代半ばくらいまで、スタジオtwl、なかの芸術小劇場など、中野でやるお笑いライブに頻繁に出ていました。その頃はライブに行くために中野へ行き、ライブが終われば帰る、という、ただ職場がある街のよ…

勝目梓の小説家

小谷野敦が『芥川賞の偏差値』という本の中ですばらしいと書いていた勝目梓『小説家』という本を読んだが、たしかにすばらしかった。 到底正当化できないことをしていて、こうやって書くことが何かの贖いになったりするものだろうか。もちろんならないのだと…

私の東京物語(9)

第9話 二十代前半の頃、上野が好きでよく散歩に利用していました。上野公園をぶらぶらし、京都清水寺を模したと言われている寛永寺に行き、眼下にある琵琶湖を模した不忍池を眺め、西郷隆盛に模した銅像を見て一日を過ごしていました。晴れた日は上野動物園…

真昼の決闘

森功著『高倉健 隠し続けた七つの顔と「謎の養女」』 (講談社文庫) という本を読んだ。 江利チエミと離婚した原因が、チエミの異父姉による横領事件だったことや、高倉健が死ぬ直前に養子縁組した養女が全財産を相続して好き放題やっていることなど、知らな…

Over The Rainbow

年末年始に見たTVはほとんどNIZIU関連の歌番組のみ。 来日してから休業が続いていたミイヒが復帰し、9人での「MAKE YOU HAPPY」と「STEP AND A STEP」を披露した。 マヤが体調不良で紅白のリハーサルを欠席したりといったこともあったが、何とか年末年…

深夜特急

バックパッカーのバイブルと言われる沢木耕太郎の『深夜特急』を読んだが、旅に出たくなることはなかった。 海外一人旅への危険な誘惑に晒されることを恐れて今まで読まずに来たのだが、ひとつの読み物として普通に楽しめた。 この本が爆発的に受けたのは、…

Midnight Express

年末年始は予定通り引き籠って沢木耕太郎『深夜特急』を一気読みした。 『深夜特急ノート』と『246』も読んでみたところで、『深夜特急』とは全然関係のない、ちょっとした下世話な好奇心が頭をもたげてきた。 沢木が初めて海外の土地を踏んだのは1973年…