INSTANT KARMA

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2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

白鳥随筆

あまり読むものもなく適当に図書館で借りた正宗白鳥の随筆を読んでみたら、これがなかなか面白い。 坪内祐三の編集で、彼の書いた解説から読んだが、なるほどと思うことが書いてある。 正宗白鳥と言えば明治の評論家で、自作の小説はあまりパッとせず、評論…

もう私小説は打ち止めにしようと思っていたのだが、2021年に中公文庫から出た車谷長吉のアンソロジーを読んでしまった。 といっても『抜髪』と『漂流物』は以前読んだので、それ以外の収録作品『変』、『狂』、『武蔵丸』などを読んだ。面白かった。 巻末エ…

The Lord Notes On Vision(5)

ジム・モリスン詩集より 錬金術師は人間の性的活動の中に世界の創造、植物の生育、金属の組成との符合を見出す。彼らが雨と大地の結合を見るときには、それをエロチックな意味で、性交とみなしている。これは自然界のあらゆる領域に拡張される。すなわち彼ら…

私小説のすすめ

図書館で小谷野敦『私小説のすすめ』を借りる。思ったより面白く参考になるので備忘録メモとして抜粋しておく。 私小説というのは、基本的に、自分とその周囲に起きたことを、そのまま、あるいは少し潤色して書いた小説のこと。必ずしも「私」が主人公である…

The Lord ― Notes On Vision (4)

The Lord ― Notes On Vision James Douglas Morrison マイブリッジはフィラデルフィア動物園から動物の被写体を、また大学から男優を得て来た。女たちはプロの絵描きのモデルだったり、女優や踊子たちもおり、48のカメラの前を裸で行進した。 映画はある種…

草の響き

『草の響き』という映画を見た。 原作は佐藤泰志の小説で、数年前に映画化された『きみの鳥はうたえる』と同じ単行本(文庫にもなっている)に収められている、短編といっていい作品である。 主演は東出昌大(和雄役)。原作にはない登場人物として妻・純子…

The Lord - Notes On Vision (3)

古代ローマでは、その潜在的な肉欲が権力の脆弱な秩序を脅かしていた放埓な男たちの疑わしい健康法のために、売春婦たちは公道の上の屋根に晒されていた。貴婦人たちが、顔をマスクで隠し、裸体になって、自身の密かな興奮を求めてこれらの恵まれない眼差し…

The Lord - Notes On Vision

ジム・モリソン詩集『The Lord―Notes On Vision』より 古代の共同体では「よそもの」は最大の脅威と感じられた。 出歯亀(voyeur;覗き屋)は自涜者であり、鏡は彼の記章、窓は彼の餌食だ。 男性器は小さな顔であり、盗人とキリストの三位一体を形成する 父…

ジム・モリソン詩集『The Lord ― Notes On Vision(神―視覚〔ビジョン〕についての覚書)』

ジム・モリソン詩集『The Lord ― Notes On Vision(神―視覚〔ビジョン〕についての覚書)』より。彼はこの詩集を1970年に自費出版で出し、知り合いに配って回った。 われらの崇めるところを見よ。 「演者たち」―子供、役者、賭博者。 子供や原始人の世界に偶…