INSTANT KARMA

We All Shine On

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

Personal Affair

大江健三郎『個人的な体験』をようやく読めた。 これはやはり名作。個人的には、志賀直哉『和解』と並ぶ私小説の傑作と思った。 もちろん厳密には私小説ではないのだが、私小説だってフィクションを含まないことはないのだから私小説でいいだろう。 構造的に…

われらの時代よふたたび

大江健三郎(86)の自筆原稿や校正ゲラなどの資料約50点が、母校の東京大学に寄託されたと、東大が12日発表した。大江の原稿がまとまって公的機関に寄託されるのは初めてという。東大は今後、これらの資料を保管・管理し、国内外の研究者に公開する研究拠点…

My Bias Burnt

芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』を読んだ。 アイドルとのかかわり方は十人十色で、推しのすべての行動を信奉する人もいれば、善し悪しがわからないとファンとは言えないと批評する人もいる。推しを恋愛的に好きで作品には興味がない人、そういった感情はないが推…

M/Tと懐かしい年への手紙

週末は大江健三郎『懐かしい年への手紙』を読んで頭がグラグラしたが、『万延元年のフットボール』のときほどではなかったのは、大江の文体に多少なりと慣れたことと、こちらの方が読み易い文体で書かれていたことのせいかもしれない。万延の方がフィクショ…

アイユ

IUが是枝裕和監督の韓国映画「ブローカー(仮題)」に出演決定したとのニュース。これは楽しみ。 『ブローカー』(仮題)は子供を育てることができない人が匿名で赤ちゃんを置いていくことができるよう設置された「赤ちゃんポスト」をめぐって関わるようにな…

憂い顔の童子

大江健三郎『憂い顔の童子』を読む。 『取り替え子』の続編。舞台は四国の郷里である山村。ドイツに行った妻と、東京の長女を残して、長男のアカリと共に暮らす古義人(以下「コギト」と記す)。 アメリカ人の文学研究者で、コギトの小説の舞台を調査して論…

ことりたちのさえずり

町山VS菊地のツイッター論争(?)が激化している、というより論争に持ち込みたい菊地に対し、菊地に「トランプ支持者(≒陰謀論者)」「レイシスト」のレッテルを貼って被害者を装って逃亡(だが自分の信者へはツイッターを通して自己正当化アピール)してい…

1860年のサッカー

週末は大江健三郎『万延元年のフットボール』を一気に読んで頭がグラグラした。 冒頭の段落が「夜明けまえの暗闇に眼ざめながら、熱い『期待』の感覚をもとめて、辛い夢の気分の残っている意識を手さぐりする。」という文章で始まっているので、土曜日の明け…