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2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

佐伯一麦

現代作家で私小説作家を標榜する数少ない作家の一人、佐伯一麦の『一輪』、『木の一族』、『還れぬ家』を呼んだ。 どれも面白かったが、この人は、十代で家を出て電気工として働き、時には風俗店にも通いつつ青春時代を彷徨うという、西村賢太と似ていると言…

私小説

西村賢太にハマったのをきっかけに私小説にハマった。 藤澤清造、田中英光、車谷長吉、佐伯一麦などを手当たり次第に読んでいる。 すごく面白く引き込まれる作品もあればそうでもないのとの落差が激しい気がする。 ふと思ったのだが、私小説は伝統的にダメ男…

西村賢太備忘録(3)

<秋恵以後> 「膣の復讐」(『歪んだ忌日』収録)「週刊ポスト」2011年12月2日号 十月、秋恵に去られたことを思い出す。あの日以後暫く色欲は失せていたが、いよいよ寂しさの極みに立ったことを痛感した貫多は、秋恵の復讐にいつまでも屈しているこの状態も…

西村賢太備忘録(2)

<秋恵もの> 「暗渠の宿」(『暗渠の宿』収録)『新潮』2006年8月号 34歳(平成13年2001年9月)。新宿一丁目の八畳一間の「豚小屋」を出て秋恵(表記はまだ「女」)と同棲するためのアパートを二人で探すも、保証人やら収入証明やらを求められ、中々条件に…

西村賢太備忘録(1)

西村賢太の私小説を時系列に並べたメモ。個人的な備忘録で、随時訂正更新予定。 <秋恵以前> 人糞ハンバーグ或いは「啄木の嗟嘆も流れた路地」(『文學界』2020年2月号)単行本未収録 中学卒業の二日後から鶯谷のアパート住み始め、そろそろ二か月が経とう…

どうで、ぼく、根がデオドラント志向

西村賢太の『どうで死ぬ身のひと踊り』を図書館で借りて読んだら滅法面白かったのでブックオフで『小銭をかぞえる』も買って読んだ。 同棲相手とのDVがらみの愛憎模様を作者の昭和初期の私小説作家・藤澤清造への偏愛ぶりを織り交ぜながら描く私小説。男の情…