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海外でのレビュー

Love Exposureで検索すると,『愛のむきだし』の海外でのレビューがたくさん見れる。 大半が絶賛で,有名な映画批評サイトIMDb(The Internet Movie Database)でも手放しの傑作との評価が多い。 以下,海外のブログから,典型的なレビューを翻訳して転載する。

Tuesday, November 03, 2009
Review - Love Exposure

今年一つだけ日本の4時間に及ぶラブストーリーを見るとしたら,たぶんこれが唯一の選択肢だろう。こんなものは他のどこにもない――下品なユーモア,神学的探求,血みどろの暴力,そして胸がキュンとなるような恋愛の叙事詩的な融合。

長大な上映時間は園子温監督の作品を観る気力をくじくかもしれないが,心配は無用だ。なぜなら,この映画に弛んだ時間はまったくなく,監督がこの狂気じみた複雑なストーリーを掌握していない時間は一瞬たりとも存在していないからだ。

実際のところ,この映画について僕が不満な唯一の点は,エンディングが(遂に到来したとき)少し唐突に感じられることだ。僕は完全に時間が経つのを忘れていた。あまりにもユウ(西島隆弘)とヨーコ(満島ひかり)の薄幸な恋人たちの運命に感情移入してしまっていたせいだ。

愛のむきだし』は平均的な映画よりも2倍長いかもしれない。しかし2倍優れてもいる。

愛のむきだし』は本質的に少年と少女のラブ・ストーリーだ。でも事はそれほど単純ではなく,二人が初めて出会うのは映画が始まってほとんど1時間経ってからだ。それまでに観客は変態とカトリックの原罪に膝まで浸かってしまっている。

ユウは神父の息子で,10代の若者である。神父である父親は,カオリの誘惑に会って信仰が揺さぶられて以来,厳格で遠い存在になってしまっている。息子は,罪こそが救済であり,懺悔の中で父親との親密な関係を築くことができると考える。

小さな罪をいくつか犯した後,ユウは遂に盗撮の世界に目覚める。彼は女性のスカートの中を撮影するために忍者のようなテクニックを使うに至る。しかし,これは彼の旅路の始まりに過ぎない。ユウはやがて,女装者,変態たちの告白相手,ポルノ業界のアイドル,殺人者,そして精神病者となる運命にあった。これはすべて愛の名の下に起こったのである。

ユウの世界にほとんど同時に二人の女性が現れる。一人は前述のヨーコ,ユウが一目ぼれする喧嘩早い女子高生だ。もう一人は,コイケ(安藤サクラ)であり,白い衣装をまとう謎の存在として,ユウの後を付け回す。

これ以上『愛のむきだし』を分析することは不可能な仕事に近い。

しかし,この映画の奇跡は,園の曲芸のような手腕にある。つまり,登場人物を増やし,ストーリーを複雑化させ,フラッシュバックや空想的な挿話,ワイルドな音響の切り替えを使いながらも,物語の明確さは維持されているのだ。ストーリーは,さまざまな方向に一度に拡散しながらも,決して迷走することも矛盾することもない。これは部分的には監督が絶対的に映画をコントロールしているためでもあるが,主な要因は,あらゆる狂気が,純粋で深く感情的な本筋の周囲に展開しているという事実による。罪と倒錯を含む恋愛―それは何とかして魅惑的な無垢を維持しようともがいている。

キャスト全体が絶妙な調和を保っているが,物語の中心をなす三人の若い俳優は最高の称賛に値する。彼らに対する園監督の要求は,途方もない幅広さと深みを持って,複雑な背景を持つ登場人物を演じきることであったが,彼らは見事にこれに応えている。

安藤サクラはおそらく最も困難な仕事を担っている。映画の大部分では謎めいた不愉快な存在でしかないが,彼女の動機が明らかにされてからは,そのギャップは解消されていく。

同様に,両性具有的で気弱な西島はたくさんの課題に挑む必要があった。ロマンチックな恋愛をリードし,女性を洗脳から救い,熟練した喜劇俳優でもあることを要求された。しかしそのすべてを彼は見事にやってのけた。観客はたちまち彼の究極の恋人を求める旅路に深く共感してしまう。そして遂にヨーコが登場し栄誉を与えられる。

おそらく僕が映画の中で最も気に入ったのは,満島ひかりの見せた演技だ。甘美なイメージ(ユウの夢想する聖母マリアの面影),喧嘩好きで凶暴な破壊者,彼女の存在はその両方で輝きを放っている。一体彼女と恋に落ちない男がいるだろうか?

そしてこの映画に魅せられない者などいるだろうか? 上映時間の長さにたじろぐ人はまだいるかもしれない。でもそれはもったいない。重要なのは長さではなく,その中で園監督が何をしたのかにある。4時間の上映時間の中で,彼はあらゆる瞬間に絶え間ない機智と創造性を盛り込み,その結果として,圧倒的でユニークな映画体験を可能にしている。勃起についてのジョーク,カルト教団,少女の空想や脱洗脳―園監督の世界ではタブーは存在せず,聖域もない。

今年見た中で,『愛のむきだし』ほど僕を驚かせ,一貫して喜ばせた映画はなかった。この日本のまったく奇異な作品以上に僕に恍惚の境地を味わせてくれた映画はなかった。これは傑作である。これまでのところ今年のベストであり,時間を費やす価値が十分にある映画と言える。どうか信じてほしい。4時間はあっという間に過ぎ去ることを保証する。