INSTANT KARMA

We All Shine On

It’s a thin line between パクリand引用

助言 

 

ラングストン・ヒューズ/木島始

 

みんな、云っとくがな、

生れるってな、つらいし

死ぬってな、みすぼらしいよ───

んだから、掴まえろよ

ちっとばかし 愛するってのを

その間にな。

 

 

歌名:チェインギャング

歌手:ブルーハーツ

作詞:真島昌利

作曲:真島昌利

編曲:THE BLUE HEARTS

 

生きているっていうことは カッコ悪いかもしれない

死んでしまうという事は とってもみじめなものだろう

だから親愛なる人よ そのあいだにほんの少し

人を愛するってことを しっかりとつかまえるんだ

 

古い話で恐縮だが、あのブルーハーツの代表曲の一つ『チェイン・ギャング』の歌詞の一節は、上記の通り、アメリカの黒人詩人ラングストン・ヒューズのフレーズの丸パクリである。

 

この詩は、たしか当時の高校の教科書なんかにも載っていたりしたので、マーシーはたぶん無意識のうちに頭に残ってたのを書いたんだと思う。

 

でも、この曲についてこの点を問題視する声を、少なくとも僕は聞いたことがない。

 

ちょっと前に、松本零士が「銀河鉄道999」に出てきたフレーズについて槇原敬之著作権侵害で訴え、槇原側が逆に松本側を名誉棄損で訴えるという事件があった。後者については、判決で名誉棄損が認められたようだ。

 

ラングストン・ヒューズはとっくに故人だし、相続人もブルーハーツの曲について知る由もないだろうが、「チェイン・ギャング」が万が一アメリカで流行ったりしていたらきっと問題になったと思う。もっと言えば、「チェイン・ギャング」というタイトルそのものがサム・クックの同名曲のパクリで、これはマーシー自身認めている。

 

最近はヒップホップなんかでは「リスペクト」の名のもとに過去の音源をパクリまくることが公然と行われている。そのへんにどういう了解があるのか、最近の事情には疎いので僕にはよくわからない。

 

これも10年以上前の話だが、オザケンや小山田、フリッパーズ・ギターを筆頭とする「渋谷系」の音楽では、過去の名曲からのフレーズの引用、というかパクリが堂々と行われていた。

 

法律論として「引用」か「盗用(パクリ)」かという議論はあるにしても、非常に微妙で、紛争化するかどうかは、結局のところ引用元が怒るかどうかという点にかかっている。

 

「論文」と「評論」の違いという問題、あるいは表現活動にとって影響を受けた作品の引用の持つ意義、という点まで考えれば、一筋縄でいく問題ではない。

 

ちなみに、この記事のタイトルも、The Persuaders の名曲のタイトルからの「パクリ」です。