INSTANT KARMA

We All Shine On

3-4×10月

北野武監督の第二作『3-4×10月』を見た。

初脚本作品であり、『その男、凶暴につき』とどのような違いがあるのかを興味を持って見た。

結論から言うと、面白かった。

若干ネタバレになるが、脇役で登場するビートたけし演じるヤクザがいい味を出していた。

たけし軍団が草野球に興じるという冒頭のシーンからして、身内の映画ごっこに見られかねないリスクを冒している。

しかし、この作品には芸人ビートたけしによる芸能界的慣れ合い(例えばとんねるずの映画作品のような)はまったく無い。ひとつひとつの画像が美学に貫かれており、巨匠と言われる監督作品に共通する、映像の官能とでもいうべきものを味わうことができる。

ここでも「死に急ぐ男」というモチーフが底流にある。この作品で、映画という表現形式が彼の思想及び思考法に合っているということに彼自身本格的に気づいたのだろうと思う。

監督としての地位が確立した今となっては当然のことのように思われるが、当時はバブル景気の真っただ中でもあり、彼のクールな、再び言えば虚無的とも言える姿勢は、異常とも言えるほど際立っている。