INSTANT KARMA

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ハムレット

今更シェークスピアハムレット』を読み返す。

英文テキストとその注釈と日本語訳を並行して読むのは結構骨が折れた。

新潮文庫福田恆存の翻訳はさすがに名訳と思う。

角川文庫の新訳も読んだが、なかなか読みやすかった。

作品自体については、以前に読んだときよりも、ハムレットが魅力的な男に思われ、自分の中でシェークスピアがようやく腑に落ちた気がした。

福田恆存ハムレットは<無>である」と指摘しているのは慧眼だと思う。

ハムレットは鬱々と人生に悩むインテリ青年ではなく、「自己実現」などというけち臭いもののために苦闘したのではない。死ぬまでの暇つぶしと見切った人生を全力で演じきったのだ。そこには最高の緊張感と深刻さと最大のリラックスとユーモアが同居している。

かつて奥菜恵がオフィーリアを演じた舞台を見たことがあるが、今度は満島ひかりがオフィーリアを演じると言う。見に行く予定はないが、どんなものになるのやら。