今年に入って読んだ本
『ビートルズを聴こう - 公式録音全213曲完全ガイド』里中 哲彦 , 遠山 修司
ビートルズの全曲解説の本はいくつか出ている。この本が一番新しいようだ。内容はビートルズの曲について語っているのだから面白いに決まっているのだが、ファンの好みを述べ合っているだけで資料的価値があるわけではない。
『ザ・ビートルズ 解散の真実』ピーター・ドゲット (著), 奥田祐士 (翻訳)
前にも書いたように、内容が内容なので読み通すのが辛い本。正直読んでよかったと思える程の新事実が書いてあるわけではなかったので、よほど興味のある人でないとお勧めはしない。
『ビートルズの真実』里中 哲彦 (著), 遠山修司 (その他)
基本的にはファンが好みを述べ合っているだけなので、読み物として一読すればよい内容。 ビートルズがブレイクするまでの話が厚く語られているのがよかった。前にも書いたが、ジョン(とヨーコ)のソロ活動について全否定しているのがこの本の欠点と言い切ってよいのではないか。
『ウィズ・ザ・ビートルズ』松村 雄策 (著)
『ビートルズは眠らない』松村 雄策(著)
ビートルズについてひたすら思いの丈を綴っているのを読んでいてもまったく不快にならない例外的な存在が松村雄策氏である。 『ウィズ・ザ・ビートルズ』はアルバムごとに書かれたエッセイだが、最初の2枚は後述のロッキン・オン・ブックスの特集本と被っている。 『ビートルズは眠らない』は90年代のソロ活動や「アンソロジー」についてのレビューなどが読める。
『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実』ジェフ・エメリック (著)
ビートルズのレコーディング・エンジニアで、『リボルバー』と『サーゲント・ペッパー』はこの人がいなければ違う作品になっていたかもしれない。資料的価値のある一冊。後述のジョージ・マーティン本と並べて読むと一層興味深い。
『ザ・ビートルズ / リメンバー ―親友クラウス・フォアマンが語る本当のビートルズ』クラウス・フォアマン (著)
関係者の直接証言が聞けるので資料的価値あり。ハンブルク時代からのメンバーの親友といってよい存在だけに、たいへん興味深いエピソードが多い。『リボルバー』のジャケット・デザインが有名だが、特にジョンから信頼されていて、ベーシストとしてソロ活動以後のライブやアルバムにも参加している。
『耳こそはすべて―ビートルズ・サウンドを創った男』(ジョージ マーティン)
ジェフ・エメリックの本とは違って、ビートルズ一辺倒の内容ではなく、さまざまな彼の仕事について語られている。それでも「5人目のビートルズ」とも言われる名プロデューサーの発言は、その一言一言が計り知れない価値を持つ。
『ビートルズ世界証言集』斉藤 早苗(著), マイク・エバンス (編集), 恩藏 茂 (翻訳)
ボリュームが凄い。当事者からただのファンまでバラバラの証言が並んでいるが、時代の熱が伝わってくる。読み通すのはちと疲れる。
『rockin'on BOOKS vol.1 THE BEATLES』(rockin’on BOOKS)
洋楽評論の雄(?)ロッキン・オンが満を持して(?)出した特集本だけに熱い内容を期待したが、それほどでもない印象。松村雄策以外は、ビートルズについての思い入れが足りない感じだし、資料的価値があるわけでもない。
『ビートルズ:二重の主旋律―ジョンとポールの相聞歌』喜山 荘一(著)
ジョンとポールについて、BL的ともいえる観点からの考察。確かにこの二人は格好のネタになりうる。前半部は面白く読めたが、後半は少し自説の押し付けめいたものが目立ち、やや辛かった。 過去に読んだビートルズ本の中では、ハンターデイビスやメンバーの自伝本を除けば、
『ビートルズってなんだ?―53人の"マイ・ビートルズ"』 (講談社文庫) 村上 龍 (著), 香月 利一 (著)
という本が面白かった。古い本で内容はもうほとんど忘れてしまったが、ビートルズ来日時に、野坂昭如が若い世代を擁護する立場から年寄り評論家とまったく噛み合わないトンチンカンな激論を繰り広げていたのを読みながら腹を抱えて笑った記憶がある。