INSTANT KARMA

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チャック・ベリーが死んだ

いい天気だった。 久しぶりに渋谷に行き、息子と一緒にあちこち寄り道しながら明治神宮を抜けて新宿まで歩く。

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『世紀の光』の冒頭に、ローポジションから広角レンズを使って空を仰ぎ見るようなロング・テイクの固定ショットがある。空の大半を埋め尽くす生い茂った木々が風でざわめいているだけの、何の変哲もない場面なのだが、初めてこの作品を見たとき、なぜか異様な感覚を覚えた。

明治神宮の境内を歩きながら、空を見上げたとき、うっすらと似たような感覚を覚えたが、これはどういうことなのか、あの画面と今見ている風景が視覚的に被っているというだけなのか、あの画面に「宿っている」ものとこの風景に宿っているものが似ているということなのか、「宿っている」という感覚自体が思い込みにすぎないのか。

 

チャック・ベリーが90歳で亡くなったというニュース。 見ていないが、世界中のSNSに文字どおり何百万もの哀悼のメッセージ(R.I.P)が大量に流れていることだろう。 彼がいなかったら、ビートルズストーンズもなかった、とまではいかないにせよ、60年代以降の大衆音楽は全然別の形になっていたことだけは間違いない。

1972年のジョンとの共演。ヨーコが奇声を発するため、途中でマイクをオフにされている。