INSTANT KARMA

We All Shine On

2019.1.5

午前、2015年に韓国で放送されたドラマ『プロデューサー』の第7話を見る。人気歌手のIUが出ているのを目当てに見ていたのだが、だんだん面白くなってきた。

テレビ局(KBS)に就職した大卒エリートの青年(主人公)を演じるキム・スヒョンの朴訥な雰囲気がいい。IU演じる人気歌手シンディの不眠を気遣って、彼が「寝る前に読むと良い」と言って彼女に貸してあげる本がヘッセの『デミアン』というのもいい。その本には彼が引いた下線が書き込まれていて、二人でその解釈を語り合うシーンなど実に微笑ましい。ちなみにIUは『人間失格』のような日本の小説も読む、読書家のようだ。読書といえば、人気アイドル・グループ RED VELVETのメンバー、アイリーンが読んだと発言してネットが炎上したという話題の小説の邦訳が最近出版されたので、読もうと思っている。

午後、散歩ついでに近くの区立図書館に行き、韓国の近代文学の草創期に活躍した作家・金東仁(김동인、キムドンイン)の短編集を少し読む。

金東仁は1900年10月2日平壌で生まれた。親は大富豪で、1914年に来日し、当時の日本文学に触れている。韓国の文学は通俗的と批判し、芸術至上主義的な作品を書いたが、今日読んだ『舟歌』や『さつま芋』のような作品は、民衆の生活をリアルに描いていて、むしろ洗練された無駄のない文体に特色があるように感じた。

彼が戦後に書いた『民族的反逆者』という短篇は、心ならずも民族のために日本に協力した指導者を描いたもので(短編なのでごく簡略なスケッチ程度の描写に留まっているが)、昨日読んだ任文桓の自伝と同じ種類の葛藤が感じられた。彼は不敬罪で何度か獄中生活を体験しており、その体験に基づいた小説もある。

図書館で、ブライアン・イーノの『ネロリ』、『Music For Airports』、ロバート・フィリップとの共作、『クレイジーキャッツ・スーパーデラックス』を借りる。

イーノの単独作品は読書のBGMに丁度いい。クレイジーキャッツ植木等の歌声に引き込まれて聞き入ってしまうため読書には不適。フィリップとの共作は以前に買って売ったのを思い出した。