この数週間は『悪霊』にすっかり憑りつかれていて、今は米川正夫訳と江川卓訳と亀山郁夫訳を頭から順番に読み比べを開始した。
どの翻訳も一長一短だが、今のところ(第1部の途中)米川正夫訳が一番しっくり来る。
江川卓訳はいいのだが、ステパン氏のフランス語をカタカナニシテイルノガイタダケナイ。
ネクラーソフの詩を引用した、<ステパン先生が知識人としてスクヴォレーシキ村で祖国のために果たしていた役割>については、
「譴責の権化」(米川正夫訳)
「生ける良心」(江川卓訳)
「血肉と化した非難」(亀山郁夫訳)
の三種三様だが、やっぱり「譴責の権化」がカッコいい。
「譴責の権化(あるいは生ける良心、血肉と化した非難)」として祖国の前に立っているのに、疲れてすぐ寝転んでしまうのがステパン氏。