ぼくが大学に入学して東京に来た頃はバブルが弾ける前の最高の勢いにあったころで、出版業界もバブルだったのか、今なら出せないような様々な本があった気がする。
別冊宝島に「精神世界を読む」という特集号があって、本場からほとんど二十年遅れのニューエイジ思想の邦訳本がたくさん紹介されていた。
東京に来て自閉的な生活に行き詰って頭がちょっと変になり精神世界にハマろうとしていた自分はそれに載っている類の本を片っ端から読み漁ろうと意気込んだ。
その中にはオウム真理教の種本になったようなものがたくさん含まれていた。自分は知り合いにオウム信者がいたが「自分はその原典に直接当たっているのだ」という変な優越意識があってオウムやその他の新興宗教に入っていく人たちをバカにしているような鼻持ちならない人間であった。
同時代の小説などにもまったく関心がなく、村上春樹や吉本ばななを読むような人たちをバカに仕切っていた。鼻持ちならない底意地の悪い人間であった。
バブル景気に乗って社会的成功を目指すような生き方を心底軽蔑しきっていて、そういう社会で成功する代わりに精神世界で真の人生の勝利者となるのだ、といったような、新興宗教の若い入信者にありがちな腐ったメンタリティの持ち主であった。
家のパソコンの調子が余りにも悪いのでここまで。続きは明日。