War Is Over

 if you want it

大庭みな子

『大庭みな子全集』日本経済新聞出版社)第22巻に載っている対談がおもしろい。

深沢七郎との仲の良さが伝わってくる対談もいいし、私小説をめぐっての佐伯一麦との対談もある。

もちろん小島信夫との対談もあって、これがまた面白いのだが、それについて後で述べるとして、瀬戸内晴美(寂聴)が対談の中でやたらに小島信夫について言及しているのが面白いのだ。

まるで小島を巡って二人の女流作家が恋のさや当てをしているようにも見え、明らかに瀬戸内が大庭にシットしているのが分るのがさらに面白い。

二人そろって、小島の奥さん(前妻の時子さんと今の愛子さん)がうらやましい、あんなに女の気持が分る男はいない、信夫さんのような人に記憶を押し付けることができた女性たちが羨ましい、「抱擁家族」の時子さんの描き方には涙が出る、など大絶賛のオンパレードの様相を呈している。

小島との対談では、大庭みな子は冒頭から「今日はひどく気分が爽快です」などと述べ、その前月に文芸誌の座談会で森敦が大庭みな子の小説をボロクソに貶したことを受け、「あれは森さんは小島さんに聞いて欲しかったんだと思う。私はとんだとばっちりにあったんだわ」などといい、しまいには森さんがあそこまで私のことをボロクソに言えるというのはすごいことで気分は悪くないなどと言い出す始末である。

最期の対談では、二人とも八十を超えているのだが、大庭は夫に小島の小説を朗読してもらって一日中聴いているといい、「抱擁家族」のどこでもいいから読んでもらって、聴いていると涙がでてくるなどという。大庭は脳梗塞で倒れてから車いす生活になり、本を読めなくなり、文章は夫に口述筆記してもらうようになっていた。

そういえば小島の何かの小説に、瀬戸内晴美から声を掛けられ、「あなた大庭みな子さんのことが好きでしょう? やっぱりかわいいからよね?」などとヤキモチ丸出しのことを言われたという描写があった気がする。本当のことかどうかは知らないが。