千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために』を読む。
勉強とは、これまでの自分の自己破壊である。
まず、自己の現状をメタに観察し、自己アイロニーと自己ユーモアの発想によって、現状に対する別の可能性を考える。
そこで、絶対性を求めず、相対的に複数の選択肢を比較し続けるというユーモア的な「比較の中断」を基本姿勢とすべきである。
勉強とは、何かの専門分野に参加することである。勉強の本体は、信頼できる文献を読むことである。
書く技術は、「書くことで考える」習慣によって向上する。
本書は、ドゥルーズ&ガタリの哲学とラカン派の精神分析学を背景として、著者自身の勉強・教育体験を反省し、ドゥルーズ&ガタリ的「生成変化」に当たるような、または、精神分析過程に類似するような勉強のプロセスを、構造的に描き出したもの。
言っていることは、とてもよくわかる気がする。ある程度共感もする。
勉強(ラディカル・ラーニング)することで、〈一周回ってバカになる〉というのが、十牛図のような発想で面白い。
でも、当然のことながら、彼の小説ほどには面白くない。
あといくつか、彼の本を読んでみようと思う。