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Spy M

日本共産党の最大のスパイであったスパイMこと飯塚盈延が、戦後に戸籍も名前も変えて隠棲生活を送りながら執筆した論文の一部。

スパイMの行った物凄い謀略については、一般に入手できるものでは松本清張立花隆の著書に詳しい。大変なことをやらかした男である。

この論文は変名で某出版社に郵送されたとのことだが、黙殺されて終わった。

かつてスパイ活動に駆使された頭脳が、宇宙論や哲学めいた抽象的思弁に逃避していた様子が垣間見える。この論文の価値はそれ以上でも以下でもない。

空間論―精神と物質―

 

飯塚盈延

 

全宇宙空間こそが精神にも物質にも先立つ唯一絶対の実在である。

空間とは真如弁証法的な現実力動の場である。真如弁証法というのは唯物弁証法と峻別するための造語であり、現実力動はこの今の現実に活動している力の意である。

この世の森羅万象は空間を本原として進化発展創造されたものである。

アインシュタインは、「エネルギーが多量に集中している場所が物体であって、エネルギー集中の少ない場所が場である」という。また原子物理学は「恒久的に存在するのは物質そのものではなくエネルギーであって、質量は単にそのひとつの相にすぎない」とする。

これにより、空間→エネルギー→質量→物質→物体→生命→精神という図式が成立する。

精神と物質は、一方が他方に優先するのではなく、いずれも空間に支えられ、連なり統合されているといえる。

「人間誰しもがそのかみのはじめ何ら自らの意図も要望もなくして生みいだされたその内界の厳粛事実の意義に透徹せよ。と同時にまなざしをあげてその外界に凝思せよ。そこには人間とともなる被造性(受動性)の全自然界がある。そしてまた、それだけではない、さらにそこには、まったき無官感性にして透明無形なれども厳然たる現実存在・現実力動なるところの大宇宙の空間そのものが、悠遥としておおらかにその当のなかなる全自然と全人間とを、いみじくも無償的に貫き通しささえつつ展開している」

「これともう一つ同時に、あまねく衆知の明白な事実は、その当の進化発展的能動・創造性宇宙力によって、その現実力動過程の最高次段階性そのものの代表的体現者としてこの地上に出現させられた人間が、その物質的身体力の極めて受動・被造性なるにもかかわらず、その精神力においては逆に極めて能動・創造性であるということのそれである。しかもこの性能たるやまさしく非物質的・非物理的性能にまぎれもない。すなわちまさに空間的性能そのものである」

「精神と物質(思考と存在)の優劣なく尊卑なき円満一如性なるものが、ほかならぬその当の空間そのものの本原・原動性・現実力動にこの今の現にも貫き通しささえられつつ、この精神もこの身体もがともどもに両々相俟って、その緊密統合の現実力動を可能せしめられつつあるものでることにもとづいて、完全に成り立つべきものであり、且つ成り立たしめなければならないものである」