最近見た「あらくれ」「浮雲」（成瀬）、「河内山宗俊」「人情紙風船」（山中貞雄）、「小早川家の秋」（小津）などで印象的な演技を見せている俳優の書いた本として手に取ったが、その余りに凄まじい内容に頁を捲る手が止まず一気に読み終える。
太平洋戦争で最も過酷な戦場の一つとなったニューギニア戦線で劇団を結成し、二年間一日も休まず公演を続けたという。劇団の構成員たちの強烈な個性が協力して舞台を作り上げる姿が尊い。表題の、舞台に雪を降らせたときのエピソードは涙なくして読めない。
役者という存在、エンターテイメントの意義、そしてあの戦争は何だったのかということを考えさせられる傑作文学。
絶対に絶版にしてはいけない本の一つ。
本人が主演してドラマ化、映画化もされている。
