War Is Over

 if you want it

ツボちゃん

坪内祐三という名前を知ったのはいつだったろうか。

なんとなく以前から名前だけは知っていたような気がするし、水道橋博士の本の解説を書いたり、杉作J太郎と一緒に活動(?)したりして、サブカル関係の人だとずっと思っていた。

初めて彼の名前を意識したのは、一昨年の一月に亡くなった後で、色々な人の追悼文などを読むようになってからだと思う。

佐伯一麦西村賢太などの私小説作家が追悼文を寄せ、あの中原昌也も生前お世話になったと自著に書いていた。その後、松村雄策の小説も評価し励ましていたと松村の本で知った。

ここに挙げた作家たちから共通して支持されている人だから間違いがないだろうと思って、彼の文庫本を狙え!という本を参考にして読むものを決めようと思った。

それ以前に、小島信夫の小説にハマったとき、坪内の「別れる理由が気になって」という本を読んでとても参考になった。

坪内祐三が勧めるものはほぼ間違いがなかった。正宗白鳥十返肇も面白かった。次は野口富士男を読もうとしている。

彼の『文学を探せ』という本も図書館で借りて読んだ。私小説的評論といってもいい作品で、文学魂というものが感じられた。そこに書かれている沢木耕太郎の小説(血の味)の評論にも膝を打った。

亡くなってから奥さんの書いた『ツボちゃんのこと』も読んだ。基本的には穏やかだがカッとなると見境なくなってしまうタイプで、晩年は奥さんも手を焼いていたようだ。

自分で古本屋を巡るのもいいが、彼のような文学の羅針盤として信頼できる存在がいなくなってしまうのは寂しいことだ。古本屋も書店も街から消えてゆき、それとともに文芸誌もますます売れなくなり、やがて文学そのものが消える、そんな時代も遠からずやって来るのかもしれない。

何度か彼と対談もしている菊地成孔の追悼文が読みたくてメルマガの有料記事を買ったが、リンクが張られていてそのリンク先がもう見れなくなっていたのが悲しかった。