だけど、この頃は死ぬというのはどんなことかなとばかり考えるね。やっぱり死にたくないね。誰でもそうだろうけど。
「死線を超えて」にも書いたけど、意識がなくなったら来世なんかありっこないからね。僕は来世というのは絶対にないと思う。
ただ、死んで意識がなくなったら、存在なんか知覚できないわけだから、ただの虚無ですよ。
虚無だね。虚無しかない。僕は自分のアフォリズムで考えたんだけど、虚無こそが実在するんですよ。虚無というのは実在する。変な話だけどね。お釈迦様が言った「色即是空 空即是色」というのは存在と時間に関する傑出したアフォリズムだからさ、それを考えてみると、まさに時間が途絶えてしまったら全然なくなるんですよ。
僕の親父は脳溢血で死んだからね。・・・会議の途中で脳溢血になって眠り出してね。周りのみんなは石原さんは疲れているからそっとしておいてやろうと昼飯を食いに行って帰ってきたら、吐いていたんですよ。社長の秘書が、自分の父親も脳溢血で倒れていたので、これは大変だということで医者を呼んだけど間に合わなかった。ああいう死に方のほうが楽でいいよね。でも、死に方って選ぶわけにいかないから。