INSTANT KARMA

We All Shine On

Happy Hour Again

3,4年前に録画で見た濱口竜介監督『ハッピーアワー』をもう一度見返してみた。

なんとなく見始めたらどんどん引き込まれていき、気が付いたら休日の5時間以上をテレビの前で釘付けになっていた。

長いことにはそれなりの理由がある。この長さだからこそ伝えられることがある。

改めて脚本の緻密さに驚愕する。

前回と同様に鵜飼の胡散臭い「重力」ワークショップのシーンに笑う。この自己啓発セミナーまがいの微妙な空気はその後の打ち上げでの率直なやり取りとセットで見てその効果を十分堪能できる。

後半の朗読会の小説も濱口監督が書いたのだとしたら驚愕、と思ったがあれは小説家役の人が書いたものらしい。だが朗読後のトークショーと打ち上げでの小説への的確な批評は濱口監督が書いたものだろう。

あからさまな暴言や叫び声、暴力シーンは一切ないにもかかわらず画面から漂う不穏さと緊張感。

カメラワークの的確さと美しさも特筆すべき。安定すべきところでは安定し、揺れ動くべきところでは揺れ動く。

今回見て涙が出た箇所は、純がフェリーで神戸を出ていくのを桜子の息子(大紀)が見送る場面と、ラスト近くの、あかりがゆづきちを抱きしめるところ。

再び見ることで登場人物への愛着が生まれ、キャストの多くが出演している「三度目の、正直」という映画が今年公開されたことを知って喜んだのだが(監督は「ハッピーアワー」の共同脚本を執筆している野原位)、近くの映画館での上映期間がちょうど終わったばかりでガッカリ。熱が続いていれば次の上映期間に見に行きたい。