脚本・監督・主演をのんが務めた初の劇場長編作品『Ribbon』をテアトル新宿で見てきた。
舞台挨拶のあった上映の後の回だったので、客席は満員ではなかったが、適度なソーシャル・ディスタンスを保って見ることができてかえって良かった。
一年くらい前にのん主演の『私をくいとめて』を見たのも、二〇一六年にあの伝説的な『この世界の片隅に』を見たのも、同じテアトル新宿だった。
いろいろあって、声優として劇的なカムバックを果たしたその五年余り後に、自分が脚本・監督・主演を務める作品を劇場公開してしまうという〈のん〉の破格の歩みを振り返ると、何とも感無量である。
この事実は彼女がいかに特筆すべき才能の持ち主かを示しており、このような女優は史上他に類を見ない。まさに唯一無二の存在である。
映画そのものについての感想はまた別に書くとして、画面いっぱいに彼女の演技を二時間にわたり見つめ続けることができたことは一ファンとして僥倖としかいいようのない体験であった。