INSTANT KARMA

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後藤明生の『挟み撃ち』を図書館で借りて読んでみた。

職場のPCをWindows11にアップグレードしてからネット接続はじめ動作が重くなって仕事にならない。一日の大半をPCに心の中で悪態をつきながら過ごしている。セキュリティーとかファイヤーウォールとかの関係でチェックが入るためなのかもしれないが、あらゆる点で使いにくくなっている。とにかくイライラする。精神衛生上よくない。ネット社会は電子決済とかを含めてセキュリティーが信用できない。事実上国家を超えた権力による監視社会が到来する未来しか見えない。Windowsアップグレードの度にIT業界を牛耳っている連中の勝手な都合にイヤイヤ従わされている不快感が募る。

後藤明生『挟み撃ち』を図書館で借りて読んでみた。トリッキーな作風だということは知っていたのでこちらにも構えがあったせいかもしれないが、それほどの印象は受けず。途中から流し読みしてしまった。ストーリーらしいストーリーがなく話がどんどん横道に逸れて行くという小説は、当時は新しかったのかもしれないが、小説の可能性が試し尽くされた今となっては驚きはない。小島信夫『別れる理由』『美濃』などにも影響を与えているのかもしれない。こういう方法を保坂和志中原昌也などがある意味発展させているといえるのかもしれない。次は小谷野敦が一番いいと言っている『吉野大夫』を読んでみるつもり。

ウクライナ情勢は未だ予断を許さない。プーチンは当初は48時間でキエフを占領し全面降伏に追い込むつもりだったようだが、ウクライナの抵抗が思ったより頑強で手古摺っている(ロシア軍上層部は侵攻開始と同時に首都近郊のホストメル空港をヘリに分乗したスペツナズ(特殊部隊)で強襲、IL-76で空挺部隊を供給して戦力を増やしたのちにキエフ中心部に侵攻してゼレンスキー大統領など政権主要メンバーを拘束、現政権を転覆させて親ロシア政権を樹立する計画だったのだが、スペツナズを乗せたヘリとIL-76が撃墜されホストメルの確保に失敗)。とはいってもトータルの軍事力では比較にならないのでこのままでは時間の問題に過ぎない。まるで硫黄島の戦闘を見るようで切なくなる。アメリカもEUも経済制裁などで圧力を強めるとはいっても軍事的には介入しないので見殺しに等しい。経済制裁は見切り発車で世界全体の経済への影響がどうなるかは分かっていない。最悪共倒れになる可能性もある。核の時代には旧態依然の戦争は終わったと言われても結局のところ旧態依然の戦争のやり方は全面戦争に至らない二国間レベルの戦争では有効であり強大な国力を背景にした軍事行動が現状変更の手段として成立するということが分かってしまったことは大きく、時代は冷戦以前の混沌とした状況に逆戻りする可能性が高い。こう書きながらそうならないことを願っているが人間の愚かさは数千年経っても変らないということを再確認するだけのような気もする。