INSTANT KARMA

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もう十年以上前、ある資格試験の受験が終わって合格発表まで時間ができたタイミングで、それまで長年の懸案事項だった、肛門科の診療所を訪ねた。

若い頃から肛門の形が変だなと思っていて、鏡で見たら、通常は穴の周りに皺があるのが普通なのに、腸の先端が飛び出したようになっている。擦れると痛いし下着が汚れるので女性がナプキンを当てるように尻にティッシュを当てたりしていた。

学生時代に一度恥を忍んで診療所を訪ねたことがあったのだが、そのときは「脱肛している」と医者に言ったら、医者は怒ったように図面を見せながら「君のは脱肛ではない。痔でもない」と偉そうな態度で説明し始めた。何だか悪いことをしているような気分にさせられ、結局何の治療も受けられずに帰った。

以来、医者には行かず、何とかごまかしながらやってきたが、前述の事情で時間ができたおかげで、意を決して近場のクリニック(ネットで調べた、立正佼成会系のところ)を訪ねた。そこでは親切に診てくれて、「赤ん坊の頃に手術した跡があり、それは上手にやってあるのだが、縛ってある紐(?)が解けてきたのだろう」というような説明を受け、「出っ張っている部分を手術して切り落としましょう」ということになった。

実はそのクリニックを訪れる半年くらい前、実家の父親が心臓病の手術で大学病院に入院し、付き添いに行ったときに、母親から、お前は生まれたときに〈鎖肛〉という奇形で、未熟児の上、産まれてすぐ手術したので何週間も保育器に入ったままだったという話をされた。生まれてすぐ大きな手術をして、大量の輸血が必要になり、父親が血を提供してくれたのだという話は聞いていたが、鎖肛だったというのは初めて聞いた。

その知識があったので、クリニックで聞いたときにも動揺することはなかった。医師が「そのときの手術は上手だった」と言ってくれたのが何となく救いになった。

で、その一週間後くらいに手術して、長年の懸念事項が解決されたので感動した(もちろん手術後に切った傷が治るまで数日間は必要だった)。

そんなことが十年以上前の話で、去年あたりから、そろそろメンテナンスの時期というか、何かの処置が必要なのかもしれないという事態が生じ始めた。再び、出っ張ってきたのである。朝は二,三回トイレに行くことが普通なので、ウォシュレットとはいえ尻への負担がけっこうある。不定期に出血することもあり、血はすぐに止まるので何とかごまかしているのだが、いつか何とかしないといけないと思うようになっていた。

そしてついに、一大決心の末、半年くらい前から、トイレで用を足した後に、右手の中指で出っ張ったのを中に押し込むようにした。そうするようになってから、出血もほとんどなくなったし(先日久しぶりにあったがすぐ止まった)、下着が汚れる心配もなくなり、かなり快適に過ごせるようになった。たまに長時間歩いたときに少しはみ出して尻に軽い痛みを覚えるときがあるが、そういうとき以外は何の問題もない。

やってみれば簡単なことなのに、この歳になるまでできなかったのは、肛門を指で触ること、特に排便直後に触れることに禁忌的な抵抗感があったからだろう。風呂の中で触ることすら抵抗があってできなかった。

数か月前、思い切ってやり始めるときに、頭の中で「あること」をイメージするようにした。それは、美人の女医さんが後ろに立って、彼女の指で押し込んでもらうのを想像するのだ。この女医さんは、僕の中では、白衣を着たホジウォン嬢(Cherry Bullet)の姿である。変態と思われようが何だろうが自分の中ではジウォン様なんだから仕方がない。たまにTWICEのツウィだったり、VIVIZのウナだったりする。

ああいう、とびきりの美女が背後に立って優しく声をかけながら押し込んでくれるのを想像するだけで抵抗感が見事になくなり、かえって愉しみな作業へと変わった。排便の直後でも指はそんなに汚れないことも分かった。押し込んですぐトイレ内の手洗いの水で流せばほとんど匂いも残らない。ケツの穴には十代の頃から悩まされていたのだが、もっと早くにこうしていれば手術する必要もなかったかもしれない。