「本の雑誌」西村賢太追悼号の「北町貫多クロニクル」を見ながら、以前自分で作った時系列メモを修正する。手元にすべての本がないので、よく分からないところはそのままにする。
砂川文次「小隊」(文春文庫)を読了。三篇収録されているが、発表順に「市街戦」「戦場のレビヤタン」「小隊」の順番で読む。
確かな文章力に加えて、元自衛官の知識と経験から書き込まれる細部の詳細さが小説世界のリアリティーを高めていて、引き込まれるように読んだ。
最近のインタビューで今のウクライナ戦争についてこう語っていて共感した。
LGBTQとか気候変動とか、解決しなきゃいけない新しい問題もある訳ですが、それと別にもうすでに解決、あるいは克服したって勝手に勘違いしていた過去の問題。そういった今まで無視していたことが、今回の戦争で一気に噴出した、って気がします。
芥川賞の「ブラックボックス」もよかったし、今注目している作家の一人だ。
国立国会図書館は、「国立国会図書館のデジタル化資料の個人送信に関する合意文書」(令和3年12月3日)に基づき、「個人向けデジタル化資料送信サービス」(略称:個人送信)を令和4年5月19日から新たに開始します。
これは、令和3年6月2日に著作権法の一部を改正する法律 (令和3年法律第52号)が公布されたことによるものです。この改正により、国立国会図書館はデジタル化した資料のうち絶版等資料をインターネット経由で個人に送信できるようになりました。法改正の背景には、デジタル化・ネットワーク化への対応とともに、コロナ禍により、当館や公共図書館、大学図書館等に来館せずに利用できるデジタル化資料へのニーズが、研究者・学生等の個人から高まったことがあります。
というわけで、本日から、国会図書館がデジタル化した資料で、絶版などにより入手困難なものがオンラインで閲覧できることになったという。
これまでは図書館や学術機関に限定していたサービスを、一般の利用登録者すべてに利用可能にしたということだ。
早速利用。すでに本登録はしてあるので、国会図書館のトップページからログインして、利用登録情報の画面に行って、利用規約に同意するのだが、「同意する」のところをクリックしても反応しない。何度やってもできず、「不同意」か「保留」をクリックすると、画面が変わって「不同意」したことにされる。
こっちは同意することに何の異存もないのだから、さっさと同意させてくれよ、と叫び声を上げそうになったが、一回ログアウトして再度ログインして利用規約を最後までスクロールしてから「同意する」が青になったのをクリックしたらできた。何度もスクロールして画面を弄っていたのがいけなかったようだ。
トップページでログインしてから国立国会図書館デジタルオンラインのページに行き、手始めに「小島信夫」を検索したら、「悪友記」という本がヒットして、小島信夫と庄野潤三の交友についてお互いの貴重な文章を読むことができた。
これからさらに、どんな貴重な資料が読めるのか、宝探しのようで、楽しみで仕方がない。
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ちょっと見ただけでも貴重な資料の宝庫である。特に昭和初期から戦後文学の私小説好きにとっては宝の山といえるのではないか。図書館に行く手間が省けるし、貸出と返却の手間もない。
田中英光全集も読めるし、野口冨士男「徳田秋声伝」も読める。小島信夫「抱擁家族ノート」も読める。マーナ―ポエットの作品も検索すればけっこう出てきそうだ。これは感動的な出来事である。
岡田睦「死神」(季刊芸術、1978年4月)も出てきた。
能島廉「駒込蓬莱町 : 能島廉遺作集」(「競輪必勝法」収録)も読める。あの古書収集家のスペシャリスト・西村賢太が「欲しいと思っているけど一回も見たことがない」と言った本である(ちなみに坪内祐三が二冊持っていて、entaxiで復刻したらしい)。
団鬼六の記事で有名な「近代将棋」のバックナンバーも読める。ということは、あの美少女棋士の元祖・林葉直子の連載していた「将棋エアロビクス」も読めてしまうノダ!伝説の鬼真剣師・小池重明の連載「将棋と酒」も読める…
戦前の映画雑誌(「映画情報」など)のグラビアが非常にいい状態で保存されているのが見れるのもうれしい。