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『雨滴は続く』

5月25日発売と予告されていた西村賢太の新刊『雨滴は続く』が、都心の書店ではもう並んでいるとの情報を文藝春秋社のツイッターで目にし、早速仕事帰りに新宿の紀伊國屋書店で購める。

昨日の文庫といい、いいタイミングで賢太の本が手に入るのはうれしい。

ずっしりとした手応えの本を手にして、表紙の信濃八太郎氏の手になる装画を眺める。

帯には、「さらば、北町貫多!」の黄色い大きな字が躍り、その横に、縦書きで「”最後の私小説家”が、生命を賭して紡ぎ続けた畢生の大作1000枚」とある。

”最後の私小説家”という物言いが若干気になるが、確かに西村賢太のような私小説家はもう二度と出てこないかもしれない。しかし、私小説そのものはまだ終わりではないと思いたい。

この小説は、「文學界」2016年12月号から、時折の休載を挟みながら、2022年2月の作者の急逝のため同年4月号を最後として未完に終わった長編小説である。

単行本化されてから読もうと思って、連載時にはほとんど目を通していなかったので、心して読み始めようと思う。