War Is Over

 if you want it

Demon in Roxi

数日前の記事に書いた中尾拓哉『マルセル・デュシャンとチェス』を借りてみた。四次元についての章では、二十世紀初頭の〈四次元ブーム〉とキュビズムの関連のようなことが書かれていて、「思考の新紀元」を書いたC.H.ヒントンや四次元立方体の図を描いたクロード・ブラグドンの名前はあったが、四次元のアナロジー論を突き詰めた「Tirtium Organum」の著者P.D.ウスペンスキーについての言及はなし。

 

西村賢太が日記の中で「快作」と言及していたので、小谷野敦東海道五十一駅』という小説集も借りる。表題作は不安神経症自律神経失調症、パニック症候群、アカハラパワハラ、セクハラについての小説で、同じ私小説でも西村賢太のは読んでいて開放的な気分になるのに対し、これは読んでいて窒息しそうな気分になる。特に不安神経症パニック障害の素因のある人はトリガーになる危険があるので取扱注意(つげ義春日記」もそう)。

やはり書いている側に〈透徹した眼〉(突き抜けた視点)がないと息苦しくなるような気がする。西村は「小谷野敦車谷長吉と同じ系統」だと勝又浩との対談で述べていたが、たしかに車谷の私小説も読んでいて苦しくなり頭が痛くなる。私小説ではないが佐藤泰志にも同じものを感じる。こういうテイストが好きな人もいるのかもしれないが自分は苦手である。

「ロクシイの魔」という収録作は、ミクシィが出会い系みたいな使われ方をしていた頃の〈あるあるネタ〉を羅列したような小説で、ゴシップ的な面白さはあるが、これを面白いと言ってしまっていいのかどうかためらう部分がある。

小谷野のブログを読んでいればわかるが、この中に登場する岸本俊司とは宮台真司で、宮川為人は菊地成孔であろう。

「あなたの肺気腫を悪化させます」は、今の情勢下で読むと何か預言書のような不気味さすら感じさせる短編。