War Is Over

 if you want it

No Knockin' On Heaven's Door

戸田学上岡龍太郎 話芸一代』(青土社、2013年)を読んだ。

上岡龍太郎を初めて見たのは「ノックは無用」か何かのトーク番組だった。

えげつない下ネタ(ラブホテルに連れて行った女に仰向けになった顔の上を跨がせるというような)を涼しい顔で冷静な口調で滑らかに喋っているのを見て、まだ小学生だったぼくは、何やこのオッサン、怖い人やな、という第一印象を抱いた。

次第に、大阪の芸人からは誰からも一目置かれているとか、あの横山やすしの師匠らしい(実際には横山ノックが師匠)などの情報が入ってきて、とにかく”怖い”イメージが増幅されていった。インテリヤクザ、という名称がぴったりきた(実際には上岡の父親は弁護士)。

相方の横山ノックが政治家(大阪知事)になったときは、上岡のほうがよほど適任だろうに、と思っていたが、たぶん上岡よりもノックの方が政治家には向いていたと今は思う。

鶴瓶との「パペポTV」でのフリートークは、ダウンタウンのフリートークより上だったと思うが、DTのような強引さと「客を教育したる」という傲慢さに欠けていたので、過小評価されていたように思う。

東京に来て大阪の番組を見なくなってからは上岡の出ているテレビを目にすることもなくなったが、上岡の話芸の凄さは実感していたので、折に触れ、彼は何を言ってるのかなあ、などと懐かしく思い出すこともあった。

2000年に引退したのも知らなかった。彼の話芸にふさわしい正当な評価を受けないまま終わった、というこの本の指摘に深く頷いた。

上岡は、いつまでもテレビに執着して老醜を晒し続けている<ビッグスリー>とやらとは全然違って、58歳でスッパリと引退した。その引き際の見事さだけでも、たいした芸人だったと思う。この本の付録には、彼が「ロミオとジュリエット」を独り語りした演目の音声データがついていて、フリートークとはまた違った話芸の片鱗が伺える。