War Is Over

 if you want it

ドイツ戦

FIFAサッカーワールドカップカタール2022の一次リーグ第一試合日本VSドイツ戦は、日本が2-1で勝利し、勝ち点3を挙げた。

前半をPKで先制されたが、後半に2点を取って逆転勝ちという、劇的な勝利に日本中が湧いた。

今回のワールドカップには何の関心もなく、日本人選手の名前もほぼまったく知らない。先日アルゼンチンがサウジアラビアに負けるという番狂わせがあって、何か妙なものを感じていたが、事前にいかなる期待も持たずに見た。

案の定、前半のゲームは酷いもので、ドイツの攻撃陣にいいようにやられていた。ほとんどボールも奪えず、大人と子供の試合を見ているような情けない気持ちになった。

あまりのしょっぱさに、前半終了の時点で見る気が失せ、それまでTVのNHK中継を見ていたが、後半はテレビを消してタブレットでアベマの中継を流していた。もはや自分の興味は、解説の本田圭佑がどこまでキレるか、という一点に絞られていた。

見るともなしに見ていると、前半よりは日本の動きがよくなったように思えた。逆にドイツが消極的になったように見えた。実は前半からドイツは、ボールは回しているものの決定機を再三に渡って逃していて、いまひとつ冴えなかったのだが、日本がそれ以上にダメだったので、このまま行くと思っていた。

あと一点ドイツが先に決めていたら、試合は終わっていただろう。だがGK権田修一の好セーブもあって、ドイツは決定機を逃し続けた。逆に日本は前半とは見違えるような攻めを見せるようになり、ドイツゴールを脅かすプレーも出てきた。

日本は後半に交替枠5人(以前より増えた。前は3人くらいだったはず)をフル活用して、超攻撃的な布陣を組んだ。この采配が的中した形になり、途中交代した堂安律が後半30分に決めて同点とし、続く38分にはこれも途中交代して再三攻めに絡んでいた浅野拓磨が、板倉滉からのロングボールのFKを走り込んで背後から落ちてくるボールを巧みにトラップ、続くドリブルでドイツDFを振り切ってGKマヌエル・ノイアーと一対一になるや、角度のない位置から見事なシュートを決めて逆転に成功。

残り時間の7分に加えアディショナルタイムの7分(今大会はアディショナルタイムの長さが目立つ)も守り切って、奇蹟とも思える勝利を手にした。さすがにこの展開には興奮せざるを得なかった。

何がこの勝利を生んだのか。サッカーの技術的な観点を排除して、フロイト精神分析の観点から(嘘松)見るとこのようになるだろう(嘘松)。

まず試合前からドイツ代表チームには不穏な要素があった。今大会の開催地カタールはドイツへの移民が多く、大会前に人種差別問題に焦点が当たり、カタールのスタジアム建設時の外国人労働者に対する人権侵害や、性的少数者への差別などの問題に対する抗議から、ドイツの世論調査では56%の人がワールドカップを一切見ないと回答するなど、選手たちがポジティブになり切れない精神的抑圧があった。

2日前にW杯優勝経験のある強豪アルゼンチンが伏兵サウジアラビアに逆転負けを喫するという大番狂わせがあったことも両チームの心理に影響しなかったとはいえない。加えてドイツは前回のワールドカップで韓国に負けて一次リーグ敗退したという苦い記憶もある。

ドイツチームの深層心理の中では、彼らの戦っている日本人の背後にサウジアラビア、韓国、そしてカタール労働者たちの存在を感じ取っていたということはないだろうか。それが無意識の圧力としてドイツ選手たちの中に作用し、決定機を逃すなどの消極的なプレーにつながったのではないか。

またこの試合で活躍した日本人にはドイツのクラブでプレーしている選手が多い。本田圭佑が解説の中で言っていたが、ドイツでプレーする日本人には、一次リーグの対戦が決まってから屈辱的な発言を投げつけられることもあったらしい。そうした逆境もドイツに対する闘争心を燃え上がらせる要素になった。

ピッチ外でのさまざまな要因も相まって、今回の奇蹟的な勝利が生まれた。同じような分析をアルゼンチンとサウジアラビアにしてみることもできるかもしれない。

とまれ、今から次のコスタリカ戦(27日19時開始)までが、日本にとってワールドカップ史上最も幸福な時間になる。あれこれ妄想し、やいのやいの議論を戦わせ、踊り狂うなどして、私たち哀れな民衆は浮世の憂さを忘れて、この二度とない機会を存分に楽しむべきだろう。