INSTANT KARMA

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ホテル療養を終えて

遂に退所できた。朝9時半にホテルを出て、そのまま歩いて10分の仕事場に行く。

ホテル療養の隔離生活は、毎日三食決まった時間に食事を取りに行くのがどんどん苦痛になっていった。他にすることがないのでその時間が近づく前からずっと意識してしまう。食事の合図ができたという放送があると、すぐ取りに行くと皆と一緒になってエレベーターでかなり待たされる。部屋の外は暖房などないので寒々としたエレベーターホールで何分も待つのは体調が悪い時には堪える。しかもやっときたエレベーターも満員で乗れなかったりする。エレベーターの中で咳をする人もいる(仕方ないのだが)。そういうわけなので少し時間をずらして取りに行くことが多かった。最後の夕食はドアの前でマスク着用で待機し、館内放送のチャイムと同時に部屋を飛び出して一番乗りしたが、そういうのも何か虚しい。

各階のエレベーターホールに電子レンジが置いてあって、弁当を温めることができたが、そのために待つのも面倒なので一回も利用しなかった。レンジは最大1分半までと決められていた。

ペットボトルの水は食事の際に何本でももって行くことができ、ありがたかった。看護師からはとにかく水を飲むよう勧められた。部屋が乾燥して喉をやられるパターンが多いので、加湿器が備えてあったのもありがたかった。それでもやはり室内は乾燥していたので水はたくさん飲んだ。

ホテルに入った日から平熱に戻っていたが、頭痛がするので看護師にことわって毎日鎮痛剤を飲んでいた。薬はよく効き、飲んだ後は楽になった。喉の痛みは数日でなくなったが、炎症のためのトローチはずいぶん使った。咳は薬を飲んでも最後まで収まらなかった。

バスルームは快適に使えた。部屋が乾燥しているのでドアを開け放しにしておくと加湿にもなるしバスルームもすぐに乾くのでよかった。蛇口を捻る向きが普段使うのと逆だったので最後まで慣れなかった。

防音はしっかりしているのでひたすら音楽をかけていた。ステイホームの時期にはそれほど意識しなかったが、音楽には随分助けられた。テイラースイフトの新譜はこういう環境で心を落ち着かせるのにぴったりだった。あとはコルトレーンを久々に聴いてどれも最高すぎて感動した。

長いようで短く短いようで長かった四泊五日のホテル療養であった。再び繰り返したいとは思わないが、非対面でしかお世話になれなかった職員の方々に改めて感謝したい。いま議論されているようにコロナが5類指定になるとこうした療養も有料となりごく限られた人しか利用できなくなるのだろう。ワクチンも有料になれば受けない人が多くなるだろう。しかし、自分は偶々軽症で済んだが、コロナは決してただの風ではない、とここに記しておきたい。