INSTANT KARMA

We All Shine On

Goodbye Jeff

中学生くらいのころ、コンパクト・ディスクというものが発売され、過去の名盤が次々とCD化された。

当時、CDによって音質が劇的にクリアになるとか、レコードの豊かな音がデジタル化で失われるとかで、オーディオマニアの間で論争(?)が起こっていたのを記憶している。

小さなポータブルCDプレイヤーを買ってもらい、当時家で定期購読していた「週刊FM」に載っていた「必聴名盤ディスクガイド」を目を皿のようにして熟読した挙句、購入を決意したのが、スティービー・ワンダーStevie Wonderの「インナービジョンズ Innervisions」とジェフ・ベックJeff Beckの「ブロウ・バイ・ブロウ Blow By Blow」だった。 「ギター殺人者の凱旋」というとんでもない邦題がついていた。

一聴して感動で仰け反るような体験を期待していたのだが、どちらも「まあまあいい」という感想を持ったのを覚えている。

「Blow By Blow」ではスティービー・ワンダーが作曲した「哀しみの恋人達 Cause We've Ended as Lovers」が好きだった。

名盤の誉れ高い「ワイアード Wired」も買った。これにはチャールズ・ミンガスの「Goodbye Pork Pie Hat」も入っていて、さすがに名曲と思い愛聴したのを覚えている。でも全体的にフュージョン色が強くて、当時はロックが好きだったのであまり馴染めなかった。スティービーの「インナービジョンズ」は今も持っているが、ジェフ・ベックの2枚はどこかのタイミングで手放してしまった。

 

ジェフ・ベックといえば、「英国三大ギタリスト」と称されるエリック・クラプトンジミー・ペイジとの並びの中で一番地味な印象があった。

ヤードバーズを抜けて作った「ジェフ・ベック・グループ」は、ハードロック・バンドとしてかなりいい演奏をしていたのだが、後からきたジミーペイジのレッド・ツェッペリンに「なり損なった」というような言われ方もされていた気がする。

個人的に一番カッコいいと思ったのは、ロッド・スチュワートと一緒にやった「People Get Reay」のカバーで、MVの中で走るトラックの荷台に座ってギターを弾いている姿だった。その後、アントニオーニの「欲望」という映画でジェフ・ベックジミー・ペイジが演奏するシーンがあって、ジェフが途中で苛立ってステージの上でギターを破壊するのを見てカッコいいと思った。確か、ザ・フーやジミヘンはあれを真似てステージでギターを壊すようになったんじゃなかったろうか。

 

訃報を知って、久しぶりに聴いてみた。

さようなら、ぼくの永遠のギター・レジェンド。