INSTANT KARMA

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現実(リアリティ)と虚構(フィクション)

WBCワールド・ベースボール・クラシック)2023の決勝で、日本代表がアメリカ代表に3-2で勝利し、優勝した。

最終回、9回表のアメリカの攻撃に、大谷翔平が最終ストッパーとしてマウンドに登場し、2アウトで最終打者にメジャーリーグのスーパースター、M.トラウトを迎え、三振を奪ってゲームセット、という余りに劇的な幕切れに、「漫画のような展開」と驚きの声が上がった。

昨日行われた準決勝の日本VSメキシコ戦も見どころ満載の好ゲームで、これまで不振が続いていた村上宗隆がサヨナラヒットを打ち、劇的な逆転勝ちを収めていた。

正直、アメリカ戦は序盤に大量失点してワンサイド・ゲームになるのでは、という予感もあり、過度な期待は持つまい、と自らに戒めながら観戦していたので、この意外な結果には驚き、喜びも一入といったところである。

昨年のサッカー・ワールドカップでの日本代表のドイツとの逆転勝ち、さらにスペインとの逆転勝ちの試合を思わせるような驚きであった。

しかしサッカーと違うのは、日本が決勝でアメリカを破って世界一になるという最高の結果を成し遂げたことで、昨年のワールドカップで言うと、メッシ率いるアルゼンチンとエムベパのフランスの激闘の末のアルゼンチン優勝に近い。

優勝するチームに傑出した選手がいるのは必要条件のようなものだが、一人の力だけでは最後までは勝てない。大谷翔平という突出した選手だけでなく、今回出場した日本代表のメンバー誰もが光るものを持っていたように思う。特に恐るべき強打者揃いのアメリカ打線を2点に抑えた投手陣の活躍は素晴らしかった。まあチームや試合内容の詳しい分析は、専門的な解説者がいくらでもいるので、ここに詳しく述べることはしない。

注目したいのは、スポーツの世界においても「現実がフィクションを凌駕するという現象が近年ますます顕著になって来ている」ということだ。

大谷翔平は野球漫画の主人公を超えるくらいの活躍を見せているし、将棋界でも藤井聡太というフィクションの世界でも無理がありそうな記録を更新し続ける棋士が出てきている。

この、人間界の事象が人間の思考による想定を超え続けるという事態がエスカレートしている現実が意味することについて、さまざまな側面から(半ば妄想めいた)考察を加えてみたいと思いながらひとまず今日の優勝の余韻に浸る。