INSTANT KARMA

We All Shine On

第81期名人戦第四局

5月21日(日)、22日(月)に福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われた名人戦第四局。

先手・藤井聡太竜王、後手・渡辺明名人。

69手の短手数で先手番の藤井竜王が完勝。

最近、AI解析の結果、角換わりは先手番の有利が確定したとの情報が流れ、そのせいかどうかは知らないが、今期名人戦ではお互いが後手番の角換わりを避けている。

本局も渡辺名人が早々に44歩と突いて角換わりを避け、雁木模様の将棋に進めていった。だが序盤から藤井竜王の慎重な駒組みにより、封じ手の局面では既に先手やや良しの形勢だったようだ。

もちろん「やや良し」とはいっても、トップ棋士のレベルでもほぼ互角に近いので、どちらが勝ってもまったくおかしくない局面だったのだが、二日目の数手が進んだところでは傍目にも渡辺名人がもう苦しそうになっているように見えた。

タイトル戦では興行性も考慮して早投げは滅多にしない渡辺名人が、昼食を挟んで二時間近い長考に沈んだ後は、余り時間を使わずに指し、粘る様子も見せず、夕方5時前に投了した。

名人としては第三局に勝利して、この流れに乗って二勝目を挙げたかったところだが、この完敗で再び「えぐいなあ」の状態に逆戻りしてしまったようだ。

新名人誕生の重要な一番になる可能性のある第五局は、5月31日(水)、6月1日(木)に長野県の山田温泉「藤井荘」で行われる。

 

佐藤天彦元名人が「将棋世界」の最新号に寄せた記事が話題を呼んでいる。

彼によると、晩年のモーツアルトが感じた孤独を藤井聡太に味わせないために今の棋士たちは努力しないといけないという。

同時代の棋士、それも名人経験者にここまで言わせる藤井聡太という棋士はとんでもない。彼は未来から来たのか。というより彼は、将棋の歴史400年が生んだ<最終棋士>ではないのかと思ってしまうことが時折ある。

今の棋士は、藤井聡太を<最終棋士>にしないためにも努力しないといけないのではないか。たしかに絶望的な努力ではあるが・・・

・・・なんて無責任なヘボ将棋ファンの戯言である。