INSTANT KARMA

We All Shine On

ジャニーの伝言

『タレント帝国 : 芸能プロの内幕』(竹中労 著、現代書房、1968年)より

 

1962年

4月、日系二世ジャニー・H・キタガワが代々木中学に在学していた飯野修美、真家弘敏、青井輝彦、中谷良三に声をかけ結成した「芸研ジャニーズ」(あおい輝彦中谷良飯野おさみ真家ひろみが誕生。

所属は名和新芸能学院だが仕事はナベ・プロを通じて行う。

1963年

1月、ジャニーズは日劇エスタン・カーニバルで伊東ゆかりのバックで踊る。テレビや映画にも出演し、ブロマイドが飛ぶように売れ始める。

6月12日、名和新芸能学院のKという少年が「ジャニーさんにキスされた」と名和太郎社長の部屋に駆け込み訴え。名和はジャニーを呼びつけて「君は変態か」と詰問。ジャニーは否定したが、その前にもあおいが真家に「ジャニーさんに一生をめちゃめちゃにされた」と泣いて訴えた一件もあり、厳しく追及した。

結局、学院の小学生から高校生を含め14人がジャニーの被害に遭っていたことが判明。

6月16日、名和はあおいの父を新宿の喫茶店に呼び出し、NTVの遠藤P同席の上、ジャニーのあおいに対する猥褻行為を暴露。19日には四人の父親を新大久保の三福会館に集め、「ジャニー喜多川に手を引かせる」という結論を出す。

7月10日、銀座東急ホテルでジャニーズ「父兄会」が開かれ、逆に名和太郎が父親たちから「今後はメリー喜多川に一切を任せるので、あなたには手を引いてもらいたい」と宣告される。15日、「ジャニーズ」は名和新芸能学院を去り、ナベプロに移籍。

1964年

8月、ビクターで初レコーディング「若い涙」(永六輔作詞、中村八大作曲)。

解散までにシングル15枚、アルバム2枚を出すがいずれもヒットせず。

10月、週刊平凡の表紙に登場、以後、グラビアや記事に次々に載るようになる。

1965年

4月、日生劇場ミュージカル「焔のカーブ」(石原慎太郎演出)に出演するが、セリフが三階の客席まで届かず酷評を受ける。

12月、紅白歌合戦初出場。

1966年

1月、日生ミュージカル「宝島」(石原慎太郎演出)で主演を務める。

3月、日活映画「青春大統領」(共演石原裕次郎浅丘ルリ子

4月、中谷とあおいが日大芸術学部入学。

6月、両人の入試カンニング事件暴露。

8月、渡米しロサンゼルスのメリーの妹の家に寄宿(もちろんジャニー姉弟も同行)。翌年1月5日帰国。

1967年

1月、中谷がひき逃げ事件を起こす(示談となる)が報道されず。

6月、大阪労音ミュージカル「いつかどこかで」主演。共演したフォー・リーブスがのちにデビュー。

11月27日、ナベ・プロ所属の「ジャニーズ」解散会見。

マネージャー喜多川泰子(通称メリー)は「解散ではなく将来四人が本格的ミュージカルをお見せする休止符、とご理解いただきたい」と発展的解消であることを強調。

 

だが解散の真の理由は、名和太郎こと高橋幸吉から「立替金請求等」の訴訟を起こされたためであった。

事件の内容は、1962年4月1日から同64年6月28日までのジャニーズの名和新芸能学院におけるレッスン料、宿泊料及び食費、62年3月15日から64年6月末までのジャニーズの下宿料、交際費など合計270万6298円を弁済要求するというもの。

“立替金請求等”の「等」とは、ジャニーが学院内でおこした猥褻事件を指す。はじめ、原告名和太郎は、金銭問題をぬきにして、猥褻事件だけを提訴したところ、被害者(ジャニーズ)の直接の訴えがなければ受領できないと却下された。そこで、弁護士と相談の上で立替金請求等事件としたのだが、270万6298円は領収書、または支出明細(伝票)があるもののみについての請求額であった。

名和は提訴の前にジャニーの「醜行」を暴露した文書を報道関係者に配布したが黙殺される。

この事件を報道した「女性自身」編集部にはナベプロから強硬な抗議があり、竹中労の企画した記事の掲載を拒否する。

10月に法廷に立った歌手の秋元勇蔵はジャニーから性的被害を受けたことを証言し、同じく証言台に立った渡辺プロ東京音楽院講師の柴田泰はジャニーによる猥褻行為を暴露した。しかしジャニーズのメンバーは法廷で次々に「覚えていない」「知らない」「何もされていない」と証言。

この裁判では猥褻行為については認定されなかったが、ジャニー姉弟がジャニーズの月給とギャラを搾取していた実態が暴露され、グループは内部崩壊した。

 

* * *

 

事程左様に、ジャニー喜多川による若年男性タレントの性的被害は1962年結成の「ジャニーズ」当初から問題になっていたのである。

この実態を半世紀以上に渡って黙認し続け、ジャニー喜多川の生前には何一つ問題視しなかったマスコミが、今更何を言うか。ちゃんちゃらおかしい。

(「知らなかった」などと惚け切った現社長は論外の極み)

こうした腐りきった芸能マスコミのせいでどれほど多くのタレントたちが無念な思いを味わい悲惨な運命を辿ってきたことかをいくら憤っても仕方がないが、この件に関しては目に触れるたびに憤りと極度の不快感しか覚えないからブログで触れるのもこの限りにしたい。

<外圧>によってしか浄化作用が機能しないのもこの国の根っからの体質であろう。

とりあえず、徹底した総括もできぬくせに中途半端な「反省」で済ますのだけはやめてもらいたい。とことん開き直ればいいじゃないか。それでもバカな大衆はすぐに忘れて今まで通り応援してくれるだろうよ。この国は大衆のバカさ加減に付け込んで今までやってきたんだから、これからもそうすればいいじゃないか。以上、ジャニーさんからの霊言でした。