「おんなのこ―AV女優〈2〉」(永沢 光雄、コアマガジン、1999年)を読む。
これも分厚い本だが前作より読みどころは少ない感じ。
菊地成孔がSPANK HAPPYのヴォーカリストとしてスカウトした女優のインタビューが読みたかったのだが、そんなに印象は強くなかった。
今でも現役として活躍している風間ゆみの二十歳前のインタビューが一番印象に残った。逆に言えば彼女以外の女優は皆消えている(少なくともネット上で生存確認できた人は皆無)ということで、人の世の虚しさを実感せらる。
ストリート・スライダーズの写真集(ROCK PIX)をやっぱり入手したいと思ってもう一度古書店を訪れるも、既に他人の手に渡った後であった。
チャンスの女神に後ろ髪は無し。
娘がいなくなってから録画したまま放置していたK-POP番組(ミュージックバンク)の整理。残したい部分以外を消去する。VIVIZ、Cherry Bullet、TWICE、Purple Kiss、Wooh Ah!、New Jeans、IVE、Aespa、NMIXX、LeSSerafim等を残す。
栄枯盛衰、諸行無常の響き有り。
昔夢中になって読んだ本で、もう二度と読み返さないだろうと思われるものがけっこうある。そういう本を、今必要としている人のもとに届けることができれば一番いいのだが、そういう人はおいそれとは見つからない。よしんば見つかったとして、それなりに値の張ったものもあるので、厭らしい話だが、ロハでお譲りするのも惜しい気がする。となるとやはり、いったん古本屋に売って、それなりの値段のついたものを必要な人が買い求めるというのが適切な姿なのかもしれぬと思う。だが実際には、そういう本に値がつくことはほとんどなく、値段のつかないただのジャンク本として処分されることになるのが通常である。
Rolling Stonesの初期のライブ映像を見て、呆れる程シンプルな演奏なのに今でも新鮮に聴けるのは何故なのかと不思議に思う。ゴダールの撮影したSympathy For The Devilのレコーディング風景の映像を見て、ブライアン・ジョーンズがほとんど機能していないのとキース・リチャーズがそれに取って代わるかのように生き生きと演奏していることに改めてある種の感慨を抱く。この映像には何かの魔術が映り込んでいる。それは目に見えないが、映像を通して確かに伝わってくる。
亡くなったティナ・ターナーを追悼してミック・ジャガーとキース・リチャーズが昔の映像をTwitterに上げている。日本のテレビに出て忌野清志郎や高中正義と競演している映像も誰かが上げていた。アレサ・フランクリンもそうだが、彼女たちのような歌手が全てのロック・ミュージシャンから深くリスペクトされているのを見るのは嬉しい。
山川健一の小説家としての処女作「天使が浮かんでいた」は
――故ブライアン・ジョーンズに捧げる
の一行から始まる。
ブライアンが1968年7月4日の夜に自宅のプールで溺死するまでの日々を追った話。
俺は太陽を望むばかりだ。太陽の存在を忘れてしまうくらい、太陽の下で、生活したい。
黒人女が服を着て、出て行こうとする。ちょっと待てよ。俺のギターを聞いて行けよ。俺はもう一度彼女を裸にして、しゃがれた声をふり絞って歌う。
「ストリート・ファイティング・マン」B面曲で、『ベガーズ・バンケット』にも収録された「No expectations」のスライドギターはブライアン・ジョーンズが弾いている。
ミック・ジャガーは、「100%マジで打ち込んでるブライアンの姿を見たのはあれが最後だった」と語っている。
この曲は、『ベガーズ・バンケット』の冒頭を飾る、おそらくストーンズの最高傑作「悪魔を憐れむ歌 Sympathy For The Devil」の次に置かれている。
No expectations
あばよ
Take me to the station
And put me on a train
I've got no expectations
To pass through here again
駅に連れて行ってよ
それで電車に乗せてくれよ
ここにやって来ることは
二度とないと思う
Once I was a rich man
Now I am so poor
But never in my sweet short life
Have I felt like this before
昔はちったあ金もあったが
今は文無しさ
でも、甘くて短い俺の人生の中で
こんな気持ちになった事は無かったよ
You heart is like a diamond
You throw your pearls at swine
And as I watch you leaving me
You pack my peace of mind
おまえの心はダイアモンドみたいさ
おまえは豚に向かって真珠を投げつけて
俺はおまえが俺を置き去りにするのを見ているのさ
おまえは俺の心の安らぎを奪った
Our love was like the water
That splashes on a stone
Our love is like our music
Its here, and then its gone
俺たちの愛は水のようだった
石に当たって砕け散る水滴さ
俺たちの愛は音楽のようでもあった
それはここにあったけれど、消えちまったのさ
So take me to the airport
And put me on a plane
I got no expectations
To pass through here again
だから空港に連れて行ってよ
それで飛行機に乗せてくれよ
ここにやって来ることは
二度とないと思うから
黒人女は、今度は本当に出て行った。背中に鎖の跡を残して。
俺はシャツを着る。これはおそらく、最後のシャツとなるだろう。