『黒人音楽史 奇想の宇宙』の著者後藤護氏による興味深い論考を見つけた。
ブルースがテクニック偏重のデカダンスに陥って本質を見失わないためにも、やはりグリオ(語り部)としての土臭いワン&オンリーな “声” がなければならない。ハリーがそれだと思う。
その他にもこの頁にはスライダーズについて思い入れのある記事が並んでいて、読み応えがある。結成後40年を経た今もこれほど人々を魅了するバンドなのだ。
時代はロックバンドからHIPHOPの時代に移った感があるが、われわれを取り巻くひたすらfuckin'で腐った日々からどこかに連れ出してくれるようなリアルなロックは今でも求められていると思う。
五十代になった今になって、ハリーの歌詞が身に沁みる。
真昼の陽炎が立ち昇る
静寂(しじま)の道にでくわし
目紛るしい全ての泡沫(うたかた)は
途切れた夢の跡なのか
少しだけ眠らせてくれ
誰かの悪戯か 捲れた地図は
遠い日の陽炎連れ出し
荷物を引き摺る旅人の
乾いた喉を弄ぶ
少しだけ眠らせてくれ
安らぎが欲しいだけさ
少しだけ足を止めて
安らぎを分けておくれ
「陽炎の道」