INSTANT KARMA

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2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

私の東京物語(8)

第8話 歯科助手として働きながらお笑いを勉強するために渋谷にある養成所に通っていました。週に一度ビルの一室で講師に向けて塾生が作ってきたネタを披露し駄目を出され、成績がよかった人はライブに出場できるという感じです。 渋谷には109やらPARC…

読書感想文 島尾敏雄「死の棘」をよんで

ぼくは、島尾敏雄という作家の、「死の棘」という小説を読みました。 しんちょう文庫で600ページ以上あるぶ厚さなので、最後まで読めるかどうか不安でしたが、読み始めると面白くて一気に読んでしまいました。 主人公は、トシオという作家で、奥さんと子…

『私をくいとめて』感想

※ネタバレ全開のため、映画鑑賞後に読まれることをお勧めします 新宿テアトルで公開初日を見に行った。夕方の部で、客の入りは半分くらい。 明日は土曜日で、舞台挨拶もあるので、満員御礼となろう。 僕が映画を見た個人的な意見として、結論から言えば、非…

コロナ国葬狂うひと 私をくいとめて

セルゲイ・ロズニツァ監督『国葬』を見た。 スターリンの葬儀に参列する群衆の表情をひたすら映し続けるドキュメンタリー。 資料映像としての価値。 梯久美子『狂うひと』を読んだ。 『死の棘』の作者島尾敏雄とその妻・ミホの神話に楔を打ち込む傑作文芸ノ…

私の東京物語(7)

第7話 高校卒業後、歯科助手として江東区の歯医者で働きました。歯科助手というものは歯科衛生士とは違って資格がいらないので元々歯とかに興味があった私は高校一年生からずっと埼玉でアルバイトとして歯科助手をしていました。地元の歯医者を転々とし、そ…

私の東京物語(6)

第6話 高校二年生の頃、聴いていた音楽はパンクロックばかりでした。パンクじゃなきゃ音楽じゃないと思っていました。 裏切らないね。 そんな時、母親がテレビの音楽番組で見たGLAYに夢中になり、ファンクラブに入りました。「テレビで眺めているだけで…

真夏の通り雨

昨日の流れから宇多田ヒカルを聴きたくなり、宇多田が「人間活動」からの復帰後に出した『ファントム』(2016年)と『初恋』(2018年)のCDを入手した。 ついでに『文學会』2020年1月号に掲載された又吉直樹との対談記事も読んだ。表現者どうしの真摯な対…

沢木耕太郎のこと

沢木耕太郎の本を読むのが好きだが代表作ともいえる『深夜特急』には未だ手を出していないのは、自分が旅行(ましてバックパッカーの一人旅)には縁のない人間だからだろう。読んだところで「俺も旅に出よう!」という気にならないのは分かっているし、本を…

私の東京物語(5)

第5話 「ダイエットしなきゃ」と言いながら何もせずダラダラ過ごしていた中学一年生の私、その頃は私の中で菓子パンブームはとうに過ぎ去り、新たなピザまんブームが到来していたので、暇さえあればピザまんを口に入れていました。暇がなくても口に入れてい…

私の東京物語(4)

第4話 姉と原宿へ行くことになった中学一年生の私は、おしゃれな街に着ていくおしゃれな服もなく、上下スウェットで家を出ました。日曜日の東京へ向かう電車は混雑が容赦なく、全く座れない状態のままいつ着くのかもわからないしんどさで倒れそうでした。途…

私の東京物語(3)

第3話 中学一年生の時、はじめて原宿に行きました。服を買うためです。当時もらったお小遣いを全て甘いパンを買うためだけに使っていた私は、ものすごく太っていました。対照的にしょっぱいパンが好きだった姉は痩せていてファッション雑誌ばかり読んでいた…

私の東京物語(2)

第2話 父親は服飾業をやっていました。小学生の頃、父が恵比寿の店舗に異動になり父の恵比寿通いが始まりました。その時の私は、お化けよりも何よりも東京が嫌いだったので(テレビドラマ「とんぼ」の影響で)、父の勤め先の恵比寿とやらが東京と知った時は…

私の東京物語(1)

鳥居みゆきが、東京新聞紙上で2019年6月20日〜7月3日に連載したコラム「私の東京日記」が面白いので、いちいちツッコミを入れながら紹介していく。 私の東京物語 鳥居みゆき 第1話 秋田で生まれただけで人生のほとんどを埼玉で育ってきた私、幼い頃は日本が…