INSTANT KARMA

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2020-01-01から1年間の記事一覧

私の東京物語(8)

第8話 歯科助手として働きながらお笑いを勉強するために渋谷にある養成所に通っていました。週に一度ビルの一室で講師に向けて塾生が作ってきたネタを披露し駄目を出され、成績がよかった人はライブに出場できるという感じです。 渋谷には109やらPARC…

読書感想文 島尾敏雄「死の棘」をよんで

ぼくは、島尾敏雄という作家の、「死の棘」という小説を読みました。 しんちょう文庫で600ページ以上あるぶ厚さなので、最後まで読めるかどうか不安でしたが、読み始めると面白くて一気に読んでしまいました。 主人公は、トシオという作家で、奥さんと子…

『私をくいとめて』感想

※ネタバレ全開のため、映画鑑賞後に読まれることをお勧めします 新宿テアトルで公開初日を見に行った。夕方の部で、客の入りは半分くらい。 明日は土曜日で、舞台挨拶もあるので、満員御礼となろう。 僕が映画を見た個人的な意見として、結論から言えば、非…

コロナ国葬狂うひと 私をくいとめて

セルゲイ・ロズニツァ監督『国葬』を見た。 スターリンの葬儀に参列する群衆の表情をひたすら映し続けるドキュメンタリー。 資料映像としての価値。 梯久美子『狂うひと』を読んだ。 『死の棘』の作者島尾敏雄とその妻・ミホの神話に楔を打ち込む傑作文芸ノ…

私の東京物語(7)

第7話 高校卒業後、歯科助手として江東区の歯医者で働きました。歯科助手というものは歯科衛生士とは違って資格がいらないので元々歯とかに興味があった私は高校一年生からずっと埼玉でアルバイトとして歯科助手をしていました。地元の歯医者を転々とし、そ…

私の東京物語(6)

第6話 高校二年生の頃、聴いていた音楽はパンクロックばかりでした。パンクじゃなきゃ音楽じゃないと思っていました。 裏切らないね。 そんな時、母親がテレビの音楽番組で見たGLAYに夢中になり、ファンクラブに入りました。「テレビで眺めているだけで…

真夏の通り雨

昨日の流れから宇多田ヒカルを聴きたくなり、宇多田が「人間活動」からの復帰後に出した『ファントム』(2016年)と『初恋』(2018年)のCDを入手した。 ついでに『文學会』2020年1月号に掲載された又吉直樹との対談記事も読んだ。表現者どうしの真摯な対…

沢木耕太郎のこと

沢木耕太郎の本を読むのが好きだが代表作ともいえる『深夜特急』には未だ手を出していないのは、自分が旅行(ましてバックパッカーの一人旅)には縁のない人間だからだろう。読んだところで「俺も旅に出よう!」という気にならないのは分かっているし、本を…

私の東京物語(5)

第5話 「ダイエットしなきゃ」と言いながら何もせずダラダラ過ごしていた中学一年生の私、その頃は私の中で菓子パンブームはとうに過ぎ去り、新たなピザまんブームが到来していたので、暇さえあればピザまんを口に入れていました。暇がなくても口に入れてい…

私の東京物語(4)

第4話 姉と原宿へ行くことになった中学一年生の私は、おしゃれな街に着ていくおしゃれな服もなく、上下スウェットで家を出ました。日曜日の東京へ向かう電車は混雑が容赦なく、全く座れない状態のままいつ着くのかもわからないしんどさで倒れそうでした。途…

私の東京物語(3)

第3話 中学一年生の時、はじめて原宿に行きました。服を買うためです。当時もらったお小遣いを全て甘いパンを買うためだけに使っていた私は、ものすごく太っていました。対照的にしょっぱいパンが好きだった姉は痩せていてファッション雑誌ばかり読んでいた…

私の東京物語(2)

第2話 父親は服飾業をやっていました。小学生の頃、父が恵比寿の店舗に異動になり父の恵比寿通いが始まりました。その時の私は、お化けよりも何よりも東京が嫌いだったので(テレビドラマ「とんぼ」の影響で)、父の勤め先の恵比寿とやらが東京と知った時は…

私の東京物語(1)

鳥居みゆきが、東京新聞紙上で2019年6月20日〜7月3日に連載したコラム「私の東京日記」が面白いので、いちいちツッコミを入れながら紹介していく。 私の東京物語 鳥居みゆき 第1話 秋田で生まれただけで人生のほとんどを埼玉で育ってきた私、幼い頃は日本が…

R.I.P Number10

ぼくは魔法使いじゃないよ。ぼくはフィオリートで生まれたディエゴだ。でも、魔法使いとはフィオリートに住む人びとをさすと言っても間違いじゃない。彼らは1か月を1000ペソ(ほとんど最低限の生活しか賄えない額)で暮らしているんだから。 ―ディエゴ…

Step and A Step

NiziUのデビューシングル「Step and a Step」のMVが公開された。 NiziUのデビューに向けたメディア露出は、絨毯爆撃のような勢いで、どれだけ資本投下されているのかと半ば呆れるほどだ。 まだ本格デビュー前なのに紅白歌合戦の出場も決定し、まるで国民的…

レーニンが愛した女

ウラジミール・イリイッチ・レーニン(1870〜1924)と言えば、鋼鉄のような意志をもって革命事業を遂行し、革命に殉じた人物という印象が一般的だと思うが、ソ連崩壊後、彼がイネッサ・アルマンドという女性に充てた手紙と彼女の返信が公開され、レーニンが…

PURPLE RAIN ORIGINAL

『プリンス回顧録』には、1982年頃にプリンスが書いた映画『パープル・レイン』の手書き草稿が載っている。 『1999』がヒットしていた頃で、その時点ではまだ「パープル・レイン」という曲はできていなかった。 この草稿に書かれたストーリーは、完成した映…

There's Others Here With Us

プリンスの死因は、よく知られているように、オピオイド系鎮痛剤フェンタニルfentanylの過剰摂取であった。フェンタニルは劇薬であり、ヘロインの50倍の強度を持つ。医師の処方がなければ入手できないが、偽造錠剤の形で違法なルートで取引されている。 彼の…

The Beautiful Ones

プリンスの自伝『The Beautiful Ones』を読み始める。 ちょうど2016年4月16日の、アトランタでの緊急搬送事件の直後の話から始まっていて、並行して読んでいる捜査報告書の内容と併せると彼のこの頃の心情が朧げに伝わってくる気がする。 捜査報告書の方は、…

The Death of Prince Rogers Nelson: An Investigation

通勤の行き帰りにiPadのkindleでAmazonアンリミテッド(1か月無料お試し)で見つけた『The Death of Prince Rogers Nelson: An Investigation』 (Jay Corn)という本を読んでいる。 プリンスの死亡を巡る警察の捜査資料が2年後に開示されたのを受け、具体…

ばるぼら

『ばるぼら』は、手塚治虫の大人向け漫画である。『ビッグコミック』(小学館)で1973年(昭和48年)7月10日号から1974年(昭和49年)5月25日号まで連載された。『ビッグコミック』での連載としては、『奇子』の後、『シュマリ』の前となる。(ウィキペディ…

sana

TWICEのサナは本名を湊崎紗夏といって、大阪市天王寺区出身。 1996年12月29日生まれの23歳。一人っ子。 難波で買い物をしているときにスカウトされ、大阪市立夕陽丘中学校を卒業後、JYPの練習生になるため、2012年4月、単身韓国に渡る。 当初は日本人グル…

この鳥や

スペクテイターという雑誌のつげ義春特集を図書館で借りる。 冒頭の赤田祐一のつげ論にいたく共感。 私はつげ作品の“ヘビーユーザー”だ。つげ作品は、高度情報化社会という情報ジャングルの中で生きる自分にとって“治癒力”があり、読むと、効果が感じられる…

つげ義春日記

1983年に発表されたものの、長らくお蔵入りとなっていた「つげ義春日記」が講談社文芸文庫から刊行されたので買って読む。 昭和50年から55年にかけて、長男が誕生し結婚して一家を構えたつげ義春が、妻の子宮癌の発見と入院、度重なる引っ越し、作品創作…

何なんw

youtu.be ツイッターのRTで流れてきて知って、久しぶりにイイナと思った。 ネット上ではけっこうもう熱く語られていて、岡村靖幸みを感じたのは僕だけではなかったようだ。 しかしデビュー直後の岡村靖幸より完成度が高い。 岡村ちゃん好きとプリンス好き…

二十二時

大評判のスポーツ雑誌「Number」の将棋特集号(というよりも藤井聡太特集号)を買う。 創刊以来最高レベルの売り上げを記録しているそうだ。 まだ全部読んでいないが、どの記事も気合が入っていて面白い。 特に先崎学は、とっておきのネタを出してきたな、と…

Begin Again Korea

Begin Again Koreaという番組がお気に入りだ。 コロナ禍にある国民を癒すため、ソーシャル・ディスタンスを保って野外で行われた人気アーチストによる音楽ライブ番組で、先週1シーズンが終了したが、ユーテューブでも見れる。 向こうの歌手はみな歌声が素晴…

破局

今の時代精神みたいなのを探る参考のため、芥川賞の受賞作は気が付いたらチェックすることにしている。もはや「純文学」のありがたさなどないし、そもそも純文学など存在しないのかもしれない。それでも、いわゆるエンタメとは違った何かは表現されているは…

オザケンネタ

先日書いたオザケンのBLM(Black Lives Matter)に関するツイートに対して、アメリカ在住の音楽関係者が腰の入ったパンチを入れると、さらにそれに対してアカデミズム系の人がカウンターパンチを繰り入れるなど、マウント合戦論争がます…

人生は驚きに充ちている

中原昌也の新刊『人生は驚きに充ちている』(新潮社)を読了。 小説以外の文章のうち、「五輪総合演出『秋元康』という悪夢」、「ショッピングモール空間探検記」の2編は過去に雑誌掲載の際に読んだことがあり、「古井由吉氏にズバリ訊く」、「21世紀のク…