INSTANT KARMA

We All Shine On

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

And Your Bird Can Sing

佐藤泰志『きみの鳥はうたえる』を読む。これまで読んだ作品の中では一番すんなりと読めた。 この人の小説は基本的に二十代前半の男が主人公で、郊外の都市で地味な仕事についていて、独身で、関係性が微妙な恋人がいて、夏物語で、というイメージが出来上が…

水晶の腕

野沢収『ザ・ドアーズ 永遠の輪廻』とジム・モリソン詩集『「神」「新しい創造物」』を図書館で借りる。 野坂収という人は、1958年北海道生まれ、シンガソングライター三上寛のマネージャーをしながらロック評論家として「レコード・コレクターズ」や「ミュ…

Anyhow Anywhere Anyway

何に対しても関心が持てないというのは生きていく上でも痴呆症のリスクの上でも危険信号だと思うので、とにかく少しでも好奇心を持ち、読みたいと思った本を読むようにしている。今は松村雄策から早川義夫につながって、ドアーズ関連、そして松村雄策が評価…

Dear Jim

「国民は浮かれ騒ぐべきだ……全ての労働、全てのビジネス、全ての権威が停止する、完全に自由な一週間。それが始まりになるだろう」 ジェームス・ダグラス・モリソン(1943-1971) 『ドアーズ 結成50年/最も過激な伝説』(KAWADE夢ムック 文藝別冊)の野澤収イ…

同じこと

早川義夫と佐久間正英が一緒にやっていたのは知らなかった。 佐久間といえばエレカシがエピックをやめて『ココロに花を』で再デビュー(?)するときのPDとして名前を知っていた。とにかく売れ線のバンドを手掛けるというイメージだった。宮本浩次は当初佐久…

Doors of Perception

最近ドアーズばかり聴いていて、ドアーズについての情報を求めてネットを漁っていたら、ジム・モリソンの妻パトリシア・ケニーリーが今年の7月に75歳で亡くなっていたのを知った。 ジム・モリソンの恋人と言えばパメラが有名だが、付き合ったのはパトリシア…

You Are Daisy

松村雄策の尊敬している早川義夫の短いエッセイが彼のHPに載っているので読んでみる。ひとつひとつ宝石のように光る文章だと思う。松村雄策のことも出てくる。 松村雄策は早川義夫を尊敬していて早川義夫はつげ義春を尊敬していてつげ義春は島尾敏雄を尊敬…

きづな

湯川れい子さんの自伝『女ですもの泣きはしない』(角川書店)が面白く一気に読んだ。 ジャズ評論家としてデビューし、エルヴィスにもビートルズにも会って、インドのカリスマ聖者にも会って、二十世紀日本の生んだ最高のミーハー少女なのだと思った(もちろ…

Minor Request

八十年代に放送されたテレビ番組『ロック大全集』をVHS録画からDVDにダビングしたのを見返す。 今となっては時系列的にはちょっとおかしな編集も多い。ストーンズの「オルタモントの悲劇」の映像の後にキンクスやらハーマンズ・ハーミッツやらの映像が出たり…

ロック大全集

僕が十代のときに動くジミヘンドリクスやジムモリソンやジャニスジョプリンを見て感動したテレビ番組は、『ロック大全集 All You Need Is Love Part2』という深夜に放送された番組であることが分かった。VHSビデオテープで録画したのをDVDにダビングし…

Still Alive And

昨日の記事を書いた時にはまだ読んでいなくて、今朝図書館でロッキング・オン最新号に載っている松村雄策「Stii Alive And...」を読んだ。 短いエッセイなのに全部読み切るのに心の準備も含めて一時間くらいかかった。 かなりショッキングな内容なのだが、い…

66

5年前に脳梗塞で倒れたというのを知らなかったのだが、「ロッキング・オン」の最新号に松村雄策の文章が載っているというので、近くの図書館で彼の本(「僕を作った66枚のレコード」)を借りた後で本屋に寄ったら「ロッキン・オン」がなかった。宮本浩次…

Of Beauty

『文學界』の最新号に西村賢太の創作が載っているのを読んだ。連載小説以外の読み切り中編は久しぶり。ここ数年の生活状況を交えつつ、ライフワークである藤澤清造全集発刊への決意を改めて表明。コロナ禍における苦労話や腰痛話、芥川賞後に七年間連れ添っ…

松村

松本清張『昭和史発掘』の中に書かれている「スパイMの謀略」を読み返し、その後日談が「『隠り人』日記抄」という作品に書かれていると藤井康栄の本にあったので、昨日図書館で借りて読む。昭和三十三年ころ、北海道のうらぶれた長屋で芸者女と暮す凋落し…

Spy M

日本共産党の最大のスパイであったスパイMこと飯塚盈延が、戦後に戸籍も名前も変えて隠棲生活を送りながら執筆した論文の一部。 スパイMの行った物凄い謀略については、一般に入手できるものでは松本清張や立花隆の著書に詳しい。大変なことをやらかした男で…

1939-1980と1980-2021

松本清張『昭和史発掘』の二・二六事件から五井昌久氏の語る磯部と三島由紀夫の話から工藤美代子が語る三島と川端の因縁話まで彷徨う。磯部の怨霊は二十一世紀の今もまだ成仏していないのだろうか。同じような想念を持つ人間がこの世にいる以上は存在し続け…

226

二・二六事件のドキュメント(松本清張『昭和史発掘』)読んでいると、昭和維新という幻想を信じて蹶起した青年将校たちのナイーブさが他人とは思えなくなってくる。“行動を起せばあとは何とかなる”という無計画さ、全てを天皇の御心を信じるということの純…

Dear Kuta

日曜日、朝から飼い猫が窓際でぐったりしていて、これはもういよいよだな、と思う。娘もそう感じたのかずっとそばにいた。自分もそばの机で土曜日に図書館で借りてきた松本清張『昭和史発掘』をずっと読んでいた。 妻が小さな段ボールに毛布を入れて寝かせた…

昭和史発掘

松本清張の力作『昭和史発掘』(文春文庫、新装版、全9巻)を読んでいるが、面白い。 この作品は折に触れて何度も読み返しているが、読み返す度に新たな発見があり興味深い。 彼が週刊文春にこのシリーズを連載し、ちょうど二二六事件について筆を進めてい…