INSTANT KARMA

We All Shine On

会長

長年、スターの卵を探しながら、僕は頭の中で、この子から「大勢の人が慕うような個性」が見えてくるだろうか、という自問自答を繰り返してきました。 個性とはその人の中にもともと埋まっているもの。それを掘り起こし、磨き、際立たせて強い性質のものにするのが、僕らの仕事です。 そして、「時代をつくるスター」とは、後に続く人がちょっとやそっとじゃ真似できないことをする人だと思いますが、彼らに何かしら共通項があるとすれば、年齢が物差しにはならない、という点でしょうか。皆、“個性的な身体が見えてくる”人たちなのです。 つまり、身体すべてが、その人の強い個性を映し出す鏡のようなもので、年齢を推し量るには少しも役に立たない、ということ。たとえば、周りの空気を、一瞬にしてつかむ十代がいる。二時間通して、踊って歌える四十代がいる。どちらも天与の才に頼ることなく、努力、訓練、自己管理によって、見事に自分の身体を個性的に活かし続けています。 ―『人生に拍手を!』(相澤 秀禎、講談社、2007年)

昨日、酔狂に、風呂の中でサンミュージックの相沢会長の本を一気読みした。 成功した経営者によくある、ポジティブで、読むだけで御利益のありそうな本だったが、面白さと同時に、著者の人徳みたいなものが伝わってくるいい内容だった。 会長のブログも、柔軟で温かみのある人柄があらわれている。 こういうトップの下で働くのは、大変でも楽しいだろうと思わせる。 かつての商売敵であった貫泰夫(T&Cミュージック社長)も自らのブログのなかで「相澤さんの所ほどアットホームな事務所はないだろう。」と述べているとおり女性タレントの面倒見のよさで知られ、松田聖子酒井法子をデビュー当時自宅に引き取り公私にわたり面倒を見た。 また1970年代当時渡辺プロダクション年功序列の給与制を敷き、吉本興業等が完全歩合制を敷く中で、基本給を保証し生活の安定を図らせる一方で、更にプラスして歩合給も支給するという画期的な待遇を敷いていたという。(Wikipediaより) タレントも、ベッキー酒井法子など、芸能界の嫌な色に染まらず素直に伸びていっている印象がある。 岡田有希子の写真は、唯一の例外として部屋に写真を飾っているそうだ。

(以下ここから転載) そんな相沢氏だが、悔やんでも悔やみきれないことがある。86年4月に岡田有希子さんが、事務所が入ったビルの屋上から飛び降り自殺。直前に自宅でガス自殺を図ったことを聞き、慌てて歯科医から会社へと戻ったが、間に合わなかった。 「何度か、二人きりになりたそうに寄ってきた時があったのに、僕が離れてしまった…」自ら命を絶つ3日前も、会長宅に夕食に来ていたのに、話も途切れがちだった岡田さんの異変を、見過ごしていたという。 自責の念で長い間苦しみ、今回、初めて著作で事件に触れることができた。今では岡田さんの写真を手帳に入れ、携帯電話の待ち受け画面にも設定。会長室には唯一、岡田さんの写真だけが飾られている。「今では一緒にいて、落ち着く存在になった。今でもうれしい時には話しかけるんだよ、『ゆっこ、よかったな』って」

この本の帯のコメントと写真は、小島よしおが飾っているが、彼を帯に起用しようと決めた当時、今ほどの知名度はなく、出版社側は採用に反対したという。 「でも、彼は『くる』と思っていた」。果たして相沢会長の読みは的中した。 そんな相沢会長の目にとまった鳥居みゆきだから、明日のR−1も安心して見ていられる、と自分に言い聞かせている。