INSTANT KARMA

We All Shine On

2019.2.23

春のにおいがするような日。

『しき』(町屋良平、河出書房新社、2018年)を読む。なぜか落涙。

計算された稚拙な文体と時折挟まれる語り手のアフォリズムめいた語りが青春のエモさを剥き出す。

山田詠美とかいう作家(自分はこの人にまったく関心がないので作品を読んだことがない。正確に言えば、中原昌也芥川賞候補になった時に、調子のいいことを言っておきながら選考の場では黙殺したというエピソードから、極めて打算的で利己的な人間だという印象しかない。尤も作家なんて利己的でナンボの人種で、だから中原昌也や、(多分)町屋良平のような人は不遇で苦労するように出来ているのだろう)は芥川賞の講評で、存在の耐えられないポエム感と批判したようだが、その部分が逆に共感できる人にとってはやみつき的な魅力となっている。

この人には、政治家の回想録のようなものを書いているのが読みたい。