INSTANT KARMA

We All Shine On

たたかいすんで

佐藤愛子が亡くなったというニュースが報じられ、なぜかこのブログのアクセスが爆上げしている。 ほとんどは元夫の田畑麦彦を検索してヒットした記事だ。 麦彦との関係は愛子の小説の主要なテーマの一つであり、芥川賞候補になった『ソクラテスの妻』、直木…

Uncle Solitaire

今日もネットで言っちゃってる 悲惨な時代だって言っちゃってる ボクらはいつも探してる でっかい愛とか希望探してる 第131回文學界新人賞 村司侑『ソリティアおじさんがいた頃』を読む。 小谷野敦が面白いと呟いていたので図書館で読んでみたが、確かに面白…

計画

僕の親父は脳溢血で死んだからね。・・・会議の途中で脳溢血になって眠り出してね。周りのみんなは石原さんは疲れているからそっとしておいてやろうと昼飯を食いに行って帰ってきたら、吐いていたんですよ。社長の秘書が、自分の父親も脳溢血で倒れていたの…

Ruins

西村賢太が「自分の中では、日本の全小説ベスト10のうちに入る一作(但、一作家一作に限った場合のことだが)」(『這進の章』令和二年七月三〇日)という短編。 ~ ~ ~ 廃墟 大河内常平 羞恥の表情 夜半の新宿の市街には、肌に触れて感じられるほどの濃い…

リマーク2026

地球人類は失敗した それだけのことなのでもある ほかの星紀におけるほかの人類のやり方があるのだし べつにこの人類でなくてもいいのだし あるいは、この人類の失敗の仕方も、ひとつの 存在のやり方であるという言い方もできる それはそれでいいのである し…

ヴァランス夫人の果樹園

小谷野敦のルソー伝を面白く読んでいるが、若い頃のルソーはけっこうイケメンでよくモテたようだ。特に年上のマダムから好かれたらしい。 この人はヴァランス夫人といい、篤志家で今でいう保護司のようなことをしていたが、風来坊生活を送っていたルソーを引…

クリスマスルソー

これが自分へのクリスマスプレゼント。 小谷野敦氏はぼくの書いた『西村賢太殺人事件』の感想をツイートにリンクしてくれた。そのあと著者に絡まれていた(?)が、ちゃんとつき合って対応していたのを見て偉いなあと思った。 後出しジャンケンみたいに今頃…

青野純度

www.bungei.shueisha.co.jp 篠田は冒頭に「この秋、自著『青の純度』の新聞書評に端を発した風評被害の当事者となった」と述べ、「SNSには無縁なため、具体的にはどんな発信がなされ、ネット上でどんなコメントが飛び交っているのか追えなかったのだが、作品…

『信ずることと考えること』(人文学と自然科学)

人文学者は「この歴史」をたった一回の奇跡として受け取る。したがって、偶然としか考えられないような歴史の細部もすべて重視し、伝統の継承なしにはまえに進めないと考える。対して自然科学者は、「この歴史」を無限の反復の中の一例、統計のひとつのサン…

太宰治への手紙

太宰さん。手紙を書きます。 いつか申し上げた、ぼくの五百枚の手記はできました。別便でお送りします。 が、しかし、ぼくは自信をもって、この小説をお送りすることはできませんでした。 そのかわり、俺の異常な期待をもって、この手記をお送りすることはお…

The chat wasn't just that night.

昨夜は夜9時から朝4時半までこれを見ちゃったせいで今日は完全に寝不足。 www.youtube.com この長いトランスクリプトは、YouTubeチャンネル「ゲンロン【公式】」での特別な無料配信の一部であり、主に**「友の会」の更新と特典に関する宣伝を含んでいます…

前略椎名林檎様

NHKの朝のニュースで「戦後80年 二度と戦争の悲劇を繰り返さないために」という特集を毎朝やっているが(タイトルは適当)、同じ時間にイスラエルによるガザ地区への攻撃のニュースを無表情に淡々と報じているのを見て激しい違和感を覚える。 二度と繰り返し…

西村賢太私論

一読者の弁: 私小説作家 西村賢太私論 ペーパーバック版を出しました。 見本刷りを手に取ってみましたが、思っていたより読み易く満足しています。 印刷費の関係で価格は高めにせざるを得ませんでした。 既に電子書籍をお持ちの方も、気が向いたら手に取って…

文学を探せ

昨日の私見からもうちょっと抽象的なところまで考えると、「エンタメとアートの違いって何だろう」という話になる。 今、坪内祐三の『文学を探せ』が講談社文芸文庫になったのを読んでいるのだが、 こういう本がちゃんと文庫として復刊されるのは嬉しい。 坪…

ON

埴谷雄高の『死霊』(文庫版Ⅰ~Ⅲ)を図書館で借りてみたはいいが、途中からだんだん〈似非悪霊〉という言葉が脳内にチラついてきて読み進めるのが難しくなってきたので、池田晶子『最後からひとりめの「埴谷雄高」論』(河出書房新社、1987年)を図書館で予…

麦彦3

「半世界」同人たちの旅行のスナップ 田畑麦彦について考える時、どうしても戦前の詩人・尾形亀之助について連想せずにいられない。 二人とも資産家の親を持ち、青年で文学を志し理想主義的なロマンに燃えて同人誌を立ち上げるが、金があるのをいいことに仲…

麦彦2

1968年、田畑麦彦は債権者から逃れるために愛子に偽装離婚をもちかけ、籍を抜いた。 その後、麦彦は別の女性と籍を入れる。 『晩鐘』にはその顛末が描かれていて、それだけを読めば100%麦彦がアウトである。 いや実際どう見てもアウトなのだが、麦彦と愛子…

麦彦

佐藤愛子の私小説『晩鐘』を読み返しているが、ここに出てくる佐藤の元夫、田畑麦彦(作中では畑中辰彦)が何だか他人のように思えなくなっている。 観念的で理想主義者で、人間のことを知ろうとせず、己の考えに固執して突っ走るが余りにも世間知らずで他人…

又吉直樹『生きとるわ』考察(3)

この記事は、この記事を読んでから読むのに適しています。 wellwellwell.hatenablog.com この記事の最後に、小説内時系列を現実世界の時系列(2023年9月14日~同年11月5日)に合わせるために、第11回の龍先輩の 「来週に十三でアコースティックライブすんね…

『生きとるわ』時系列考察

前回の記事で、又吉直樹の小説『生きとるわ』の小説内出来事について時系列表を作成してみた。 wellwellwell.hatenablog.com この記事で書いた通り、この小説の始まりは阪神タイガースのセ・リーグ優勝の夜で、最後に岡田が横井と会う場面は阪神タイガースの…

『生きとるわ』考察(へっぽこ)

吉本の芸人さんが配信している文学談義配信で又吉直樹の『生きとるわ』の感想を順番に見ていた。ネットでは意外に感想が載っていないのでこういうのはありがたい。 stand.fm この配信はネタバレ全開なので、読んでから聞くことをお勧めする。 以下の考察も、…

Alive!

『文學界』で連載していた又吉直樹の小説『生きとるわ』を読んだ。小説を読んだのは久しぶりである。 近くの図書館のリサイクル本コーナーに『文學界』2024年1月号が置いてあったのを持って帰り、新連載開始として冒頭に掲載されていたのが読んだきっかけ。 …

日記

2017.1.12 晴れ なぜ結婚しないのか、と聞かれてもそれほど面白い返答ができないので、「結婚したいけどできない」と騒いで見せることがいかに正攻法かを思い知る。タレントとして生きるために「注意を払ってきた半生」を送ってきていないので、壇蜜として誰…

ノーベル文学賞

wellwellwell.hatenablog.com ハン・ガンの『菜食主義者』と『そっと静かに』は読んだことがあって、現代韓国文学の凄さを感じたのを覚えている。 韓国文学と日本文学の繋がりで思い出すのは中上健次だ。 ハン・ガンは自分と同い年なので、中上が紹介してい…

審判

苛酷がきざみこまれた路のうへに 九月の病んだ太陽がうつる 蟻のやうにちひさなぼくたちの嫌悪が あなぐらのそこに這ひこんでゆく 黄昏れのはうへ むすうのあなぐらのはうへ ぼくたちの危惧とぼくたちの破局のはうへ 太陽は落ちてゆくように視える はじめに…

Divine Whale

ブログの本文の途中に嫌がらせめいた広告表示が入るようになった。嫌なら有料にせよ、というわけだ。 Google検索からもハブられるし、だんだんブログの世界でもよそ者になってきた。 作家の宇能鴻一郎が亡くなったとのニュース。官能小説家として知られるが…

放蕩の果て

『福田和也 自叙伝的批評集 放蕩の果て』(静思社、2023年)という本を読む。 タイトルと自叙伝というのに惹かれて、2023年の福田和也について知りたくて読んだのだが、2013年から2022年にかけて『新潮』などに書いた評論文を集めたもので、期待していたよう…

AIせんせい

昨日のブログのアクセスは「4」で、今日は「3」(笑)。 ここまで読まれないと、もう何を書いてもいいという気分になってくる。 かといって書きたいことも特になし。 千葉雅也は、処女小説「デッドライン」を書く前に、自分が書いた文章のフレーズを使って…

東京都同情塔(シンパシータワートーキョー)

ありふれた毎日の日々のなか 降りてくる全てのものに感謝 Dragon Ash「Fever」 ブランキージェットシティについてネットを適当に漁っていたら、芥川賞作家の九段理江という人がBJCについて語っている動画が目に入った。最初の5分くらい見て、この人の書いた…

Well made,Readable,Comfortable

図書館で文藝春秋の芥川賞の選評と、受賞作の松永K三蔵「バリ山行」を読んだ。 文學界2024年2月号に載っていた候補作の坂崎かおる「海岸通り」も読んだ。 どちらもウェルメイドでリーダビリティが良くカンファタブルに読めた。 選評で山田詠美が某評論家を…