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つげ義春日記

1983年に発表されたものの、長らくお蔵入りとなっていた「つげ義春日記」が講談社文芸文庫から刊行されたので買って読む。

 

昭和50年から55年にかけて、長男が誕生し結婚して一家を構えたつげ義春が、妻の子宮癌の発見と入院、度重なる引っ越し、作品創作の苦しみ、生活の苦しさ、子育ての苦労、夫婦の葛藤といった生活苦の中で、不安神経症を発症し、文字通りもがき苦しむ様子が生々しく描かれている。

 

他人の日記や私小説を読むのが大好きと語るつげだが、この作品はそうしたジャンルの最高峰のものの一つといってよいのではないか。

 

不安神経症うつ病に苦しむ描写はあまりにリアルで、菊池成孔が不安神経症を患った時期の日記の書籍化を控えているのと同じ理由から、取り扱い注意の書籍ともいえるかもしれない。

 

だが、今の時期にこの本を読む意味は小さくないのかもしれないとも思う。

 

今年の1月、フランスのアングレーム国際マンガフェスティバルで初の本格的原画展が開催され、人生初の渡仏を行い、息子の正助氏と共に、特別栄誉賞の授賞式に出席、健在な姿を見せたことは大きな励みになる出来事だ。

 

つげマンガの魅力については、もう語り尽くされている感があり、以前このブログにも書いたことがあるが、改めて稿を改めて個人的な感想をまとめてみたいと思っている。