INSTANT KARMA

We All Shine On

You Are Daisy

松村雄策の尊敬している早川義夫の短いエッセイが彼のHPに載っているので読んでみる。ひとつひとつ宝石のように光る文章だと思う。松村雄策のことも出てくる。 松村雄策早川義夫を尊敬していて早川義夫つげ義春を尊敬していてつげ義春島尾敏雄を尊敬している。全員に共通なのはいらやしいことが大好きだということだ。それは男ならみんなそうか。「人並外れて」という形容詞をつけるべきかもしれない。

本当に好きならば、相手の気持ちを尊重し、ちゃんと空気を読み、距離を保たなければいけない。これだけ優しくしているのだから、相手も同じ優しさで返すべきだなんて主張する人は、実は人を好きなのではなく、自分だけが好きなのである。距離感さえ間違わなければ、人と人は誰とでも仲良くなれる。

早川義夫「心が見えてくるまで」より

この本は2015年に出版されたもので、早川義夫は1947年生まれだから七十歳近い頃に書いたものと言うことになる。それでも朝立ちのことやセックスのことが若者と同じ分量の情熱で書かれていてそれはすごいと思う。伊達にジャックスはやってなかった、伊達に「マリアンヌ」や「お前はひな菊」は歌っていなかったということだろう。

松村雄策が「もっとも優れた小説家」と呼ぶ佐藤泰志の小説を読んでみたいと思い近くの図書館に唯一あった十七歳の時に書いたという戦争小説を読む。もちろん若さゆえの未熟さとか甘さはあるにしても、十七歳でこれだけヘヴィーな題材を扱った作品をかけるのは凄いと思った。芥川賞に五回候補となりながら取れなかった悲運の作家で、四十一歳で自殺している。映画化されタイトルだけは聞いたことのある「そこのみにて光輝く」や「君の鳥はうたえる」など最近になって復刻され再評価されているようだ。