地平線をたどって
一列の楽隊が ぐずぐず していた
そのために
三日もつづいて雨降りだ
「雨降り」尾形亀之助
吉田 美和子「単独者のあくび 尾形亀之助」(木犀社、2010年)
読み始めたが、これは面白い。先に正津勉「小説 尾形亀之助」(河出書房新社、2007年)を読んでおいてよかった。こっちを後に読んだらひどく物足りなく感じただろう。
こちらは亀之助の生い立ちがより精緻に書かれている。
評伝としてすぐれているだけではなく、文章が魅力的で、言葉の使い方が新鮮で鋭い。なんだと思って著者紹介を見たら、やはり詩人であった。