INSTANT KARMA

We All Shine On

尾形亀之助

それから

突然だが、私小説作家の作品に描かれた作家の家族が、作家の死後にどうなったか知りたくなったことはないだろうか? 太宰治のように、妻が回想録を書き、子が作家となった人もいる。 檀一雄の妻のように、ノンフィクションライターの手を借りて自らの言い分…

亀之助と賢治(その2)

ある晩、象は象小屋で、ふらふら倒れて地べたに座り、藁もたべずに、十一日の月を見て、「もう、さようなら、サンタマリア。」と斯う言った。「おや、何だって? さよならだ?」月が俄かに象に訊く。「ええ、さよならです。サンタマリア。」 宮沢賢治「オツ…

Rain

地平線をたどって 一列の楽隊が ぐずぐず していた そのために 三日もつづいて雨降りだ 「雨降り」尾形亀之助 吉田 美和子「単独者のあくび 尾形亀之助」(木犀社、2010年) 読み始めたが、これは面白い。先に正津勉「小説 尾形亀之助」(河出書房新社、2007…

1923/2023(12/5)

鶴見俊輔の時代区分に倣って言えば日本の戦争は1931年の日中戦争から1945年の敗戦まで一つながりだったので、2031年を新しい戦争の始まりとしたら今は1923年(大正12年)に相当する。 1923年(大正12年)といえば、尾形亀之助が本郷白山上から新宿上落合に転…

Vers Le Pays Informel

「消費は生産を二重に生産する。」マルクスは「経済学批判序説」で書いている。 「つまり、消費においてはじめて生産物は現実的な生産物になるのだから。たとえば衣服は、着るという行為によってはじめて実際に衣服になる。…だから生産物は、消費においては…

椎名林檎は原阿佐緒の生まれ変わりぢゃないか?

「小説 尾形亀之助―窮死詩人伝」(正津勉著、河出書房新社、2007年) たいへん面白い。資料に乏しく謎に包まれた尾形亀之助の生涯について、細かな事実が丹念に調べられ、生き生きと描写されている。 亀之助がその直中に飛び込んだ、革命後ロシアの未来派(…

尾形亀之助年譜(備忘録)

国会図書館デジタルコレクションで読める昔の雑誌より、戦前のボヘミアン詩人尾形亀之助(おがた かめのすけ、1900 - 1942)のエピソードを拾って、ウィキペディアの略歴に挿入。なので不正確なところは多々あるやしれず、個人的な備忘録なので適宜修正して…