INSTANT KARMA

We All Shine On

Covers

例の学生サークルで行われた企画「カヴァー曲特集」の選曲と解説(1989.5.17)。

入学して早々に先輩たちの紹介するこれらの楽曲に接した自分は軽いカルチャーショックを受けた。知ってる曲はほとんどなかった(原曲はもちろん知ってたが)。

カセットテープ(AXIAの90分テープ)にダビングしたのを流していたので、A面とB面がある。

当時は中古レコード屋でしつこくディグらないと手に入らなかった音源が、今ではほとんどがサブスクで聴ける。時代は変わったものだ。

 

A-1 Satisfaction / The Residents (「Hell!」)

この曲のカヴァーはいろいろあるだろうけど、この三国一のイカサマバンドの「Satisfaction」は、原曲のニオイがほとんどしないという意味では最左翼に位置するものだろう。このグループはよくカヴァー曲をやるけれども、どんな曲をやっても「自分たちの音」にしてしまうので痛快だ。

 

A-2 Hai-Sai-Oji-San / French, Frith, Kaiser & Thompson(「Live, Love, Larf & Loaf」)

C.Beefheart(キャプテン・ビーフハート)のバンドのJohn French(ds)、 即興演奏のFred Frith(g,b,vo)、Henry Kaiser(g)、元Fairport Convention(フェアポート・コンヴェンション)のRichard Thompson(g,vo)という錚々たるメンバーによって一昨年リリースされた変なアルバムの中でも最も笑える1曲。

 

A-3 Surfin’ USA / 同上

面白いのでもう1曲入れちゃおう。

 

A-4 Got to Hurry / The Yardbrids(「Greatest Hits 18」)

    Bittern Storm Over Ulm / Henry Cow(「Unrest」)

ロックという一種の西洋音楽のスタイルを用いて、西洋音楽の否定を試み続け、70年代中期の前衛ロック・シーンをリードしたグループ、Henry Cow(ヘンリー・カウ)。そのセカンド・アルバム「Unrest」のA面1曲目では、ヤードバーズの「Got to Hurry」のフォルムを借りた、とクレジットされている。似てると言えば似てるし、似てないと言えば似てないけど、エリック・クラプトンのブルージーなプレイとフレッド・フリスの無調なプレイを聴き比べるのも一興でしょう。

 

A-5 Alabama Song / Dagmar Krase(「Angelbot & Nachgrage」)

    Alabama Song / The Doors(「The Doors」)  

Kurt Weil(クルト・ワイル)の作曲による「Alabama Song」を異端派女性ヴォーカリストDagmar Krase(ダグマー・クラウゼ)のヴァージョンとおなじみザ・ドアーズのヴァージョンで聴いてみよう。

 

A-6 Light My Fire /  Brian Auger & the Trinity(「Streetnoise」)

アラバマ・ソング」の次は当然!というわけで、イギリスのブルース・ロック・グループによる「ライト・マイ・ファイア」を入れてみた。中盤のジャジーなオルガン・ソロは一番の聴きどころで、原曲とは全く別の完成度を誇っている。

 

A-7 Backwards / Soft Machine(「Third」)

    Backwards ~ A Hunting We Shall Go(「The Best of Caravan Live」)

この2つのグループは昔1つのグループだった(両方のオリジナル・メンバーがThe Wilde Flowers というグループに入ったり抜けたりしてた)ので、まるで近親相姦のようなカヴァーであるが、この手の音が好きな人にはどちらも気に入ってもらえると思う。

作曲はソフト・マシーンのMile Ratledge(マイク・ラトリッジ)。「A Hunting We Shall Go」はキャラヴァンのPye Hastings(パイ・ヘイスティングス)。

 

A-8 バカボンと戦慄 part2ーstarless & バカボンblack part2ー / 空手バカボン

(「バカボンの頭脳改革~残酷お子供地獄~」)

何ともおぞましいタイトルだが、それ以上におぞましいのは、誰がどう聴いてもキング・クリムゾンの「スターレス」の終わりの部分の完コピなのに「作曲 空手バカボン」とクレジットされていること。有頂天のケラ、筋肉少女帯の大槻ケンジ、内田ユウイチロウの3人によって昨年LPが発表されたが、この他にもYMOライディーンの完コピに歌詞をのっけたものも収録されている。

 

うーむ、Nico(ニコ)の「The End」は長すぎて入らなかったし、ロバート・ワイアットの「Biko」(ピーター・ガブリエル)、「Shipbulding」(エルヴィス・コステロ)はすっかり忘れてた。

 

A-9 Jealous Guy / Faces

ロッド・スチュワートロン・ウッドが在籍したフェイセズはライブでこの曲を好んで取り上げた。原曲はもちろんジョン・レノン

ライブ盤「Rod Stewart, Faces Live Coat to Coast」よりの選曲で、ベースはFreeテツ山内

 

A-10 Eight Miles High / Roxy Music

           Eight Miles High (the alternate virsion) / Byrds

ロキシー・ミュージックはアルバム「Flesh and Blood」で超有名なこの曲をカヴァーしている。オリジナルのサイケっぽさは消えてなくなり、代わりに、ブライアン・フェリー発するアダルト臭がムンムンしてる。あまりよいカヴァーとはいえないけど、笑えるから入れちゃいました。

 

B面に続く