War Is Over

 if you want it

元アイドル、とか

吉田豪のインタビュー集『元アイドル!』を今更読んでみる。

吉田氏は、インタビューの前に相手を調べ尽くすことを徹底していて、その人の著書、HP、ブログ、果てはファンの掲示板の書き込みまですべてチェックするらしい。 インタビューされる相手は、過去の忘れたい出来事までほじくりだされて、「そんなことまで知っているのか」と驚き、「こいつには何も隠せないな」と思わせることでディープな話を聞き出すことに成功している。

彼がもし鳥居みゆきをインタビューすることになったら、2ちゃんねるの過去ログまでチェックするんだろうか。 『ブブカ』の本橋信宏に続く、活字媒体でのガチのインタビューがそろそろ欲しいところだ。その際のインタビュアー候補者は、間違いなくこの吉田豪だろう。過去に正体を晒している本橋氏でもいいけど。

それはそうと、この吉田豪氏と先日トークライブをやった、元ABブラザーズの片割れ(相方は中山ヒデ)で現在は作家をしている松野大介氏が、自身のブログで鳥居みゆきに言及している文章を発見した。ちょっと長いが引用する。

女芸人におけるお笑いのデフレについて 前前回だったと思うが、佐久間一行を引き合いに出して、今は育てる前に世に出してしまって使い捨てにする、というようなことを書いた。そういう風潮は、女芸人だとさらに顕著な場合がある。まだ未熟だが、アイドルでもないのに、若いうちに出してしまおう、ということだ。それは今始まったわけじゃなくて、オレが若い頃も、ピンクの電話ネタ番組のリハでボロボロだった時があったのを見ていたし、おきゃんぴーとか、もっと他の、お客の反応を意識できないまま練習通りやる女コンビも多かった気がする。いや、まあ、オレだってそういう愚かさはあったと思うよ。偉そうには言えないけどさ。 だから『エンタ』などで、下手糞な楽器演奏にのせて、他愛ない〃あるあるネタ〃を連発する女コンビがいても不思議ではないし、若いほうが商売になると判断されればすぐ世に出したほうがいいに決まっている。(中略) 前に鳥居みゆきに触れて、芸人のネタをやる際の客観性について書いたことがあった(わざと鳥居みゆきの名前を出さずに書いたのは、彼女そのものではなく笑わせるポイントで自分と自分の演じているキャラに距離を作る客観性について述べたかったからだった)。佐久間一行と共通するが、パーッと不思議な世界観で一人で一気に小ネタのオチまで喋って、ウケない状態でできた静寂を利用して笑いを取る場合が多い。そういう作りが目立つ時期はまだ未熟なのだ。鳥居みゆきは好きでも嫌いでもないが、痛々しい。キャラが痛々しいのではない。プロに必要な客観性に乏しいからだ。20年前だったら、オーディションで落とす事務所もあるだろう。 そういう客観性に乏しい未熟な女ピン芸人が目立つ。鳥居みゆきはまだいいほうかもしれない。そんなレベルの若い女芸人が、今は即戦力なのだ。

 「育てる前に世に出してしまって使い捨てにする」今のテレビ業界のやり方への批判には僕も全面的に共感する。 続く鳥居みゆきへの言及には、個人的には首を傾げたくなるが、「マサコ」に関してはある意味的を得ているのかな、とも思う。しかし松野氏は『ハッピーマンデー』に収録されているような芝居ネタをも含めて言っているのだろうか。来年発売される単独ライブのDVDを見て改めてコメントして欲しいところだ。 それにしても、『元アイドル!』に収められた「元アイドル」たちの話はどれも凄まじい。彼女たちに比べて鳥居みゆきの人生がアブノーマルだとはまったく思えない。鳥居の個性は環境よりも彼女の想像力によるところが大きいのだろう。だからこそ「芸」なのだ。