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コンピューターと将棋(2)

今日、行われた、電王戦第3局、船江恒平五段VSツツカナ(PC)は、184手に及ぶ激闘の末、コンピューターが勝利を収めた。

一日ニコニコ動画でリアルタイム観戦していたが、深い衝撃を受けた。

内容についての詳しい分析はこれからいろんなところで行われるだろうから、今日受けた衝撃を記憶が生々しいうちに記しておきたい。

船江五段は、決して弱くなかった。将来のタイトルホルダー候補と言われるだけあって、読みの深さはトッププロに引けを取らないものだと思う。特に終盤の強さはプロでも上位といえるのではないか。

序盤から中盤にかけては、一方的な勝利に終わるとも思われた。終盤にツツカナに通常の読みを外れた好手が出て差が縮まったように見えたが、再び船江五段が必勝形を築き上げ、プロ同士ならもう投了してもおかしくない大差になった。

しかしそこからじりじりと差を縮め、とうとう逆転してしまった。明確な悪手があったようには思えない。差がついてから若干緩手があったように思えたが、普通の感覚なら問題にならないようなものだったと思う。

最終盤に、詰みがありやなしやの場面になってからは、解説の鈴木八段が懸命にプロ側の詰み筋を見つけようとする中で、コンピューターの形勢判断は圧倒的に勝利の判断のまま揺るがなかった。

終盤の粘りは、記者会見で田中寅彦将棋連盟副会長が話していたように、若い頃の羽生名人(田中氏は「弱い頃の羽生さん」と言っていたが、「若い頃」の間違いだろう)の驚異的な粘りを見ているようであり、あの大山名人の粘り腰をも思わせた。その意味では、むしろ人間的な泥臭ささえ感じさせた。

今日の結果と将棋の内容は、多くのプロ棋士にとって戦慄を抱かせるに十分なものだったのではないか。

電王戦は残り2局を残すのみとなったが、目が離せない。