INSTANT KARMA

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17秒の沈黙

この週末はひたすら沢木耕太郎を読んで過ごした。一瞬の夏、敗れざる者たち、その他エッセイなど。

私ノンフィクションとも言われた彼のスタイルに惹かれる。

文体からある種の誠実さが伝わってくることが多くの読者を獲得した理由だろうし、その率直さと清々しさが取材対象に心を開かせる大切な要因と感じる。

彼のエッセイ読みたさに文藝春秋から出た高倉健の追悼永久保存版を購入する。

 

と、ここまでは枕で、今日の本題はここから。

 

この追悼号に、健さんNHKクローズアップ現代に出演したときの国谷裕子キャスターとの対談が全て文字起こしされているのだが、国谷さんが興味深い原稿を寄せている。

 

健さんはとても緊張していて、国谷さんに、自分が言葉に詰まることがあったらすぐ質問して欲しいと頼んだそうだ。

最初はそうしていたが、あまり深い答えを引き出せないことに焦った彼女は、途中から健さんの沈黙に質問や言葉を差し挟むことを止めて、健さんの言葉を待つことにしたという。

 

すると、ある質問の答えの途中で言葉に詰まった健さんは、なんと17秒も沈黙してしまったというのだ。

そしてNHKは、それをそのままオンエアしたという。

 

後日、健さんから国谷さんに手紙が来て、あの沈黙をカットせず流してくれたことに感謝すると書いてあったそうだ。

 

このインタビュー全文は本当に読む価値のある素晴らしい内容になっている。

 

あの、毎日ありとあらゆる分野の専門家や著名人にインタビューしている国谷さんが、自分のしたインタビューの中で最も心に残るものであり、わずかな時間でとてもたくさんのことを教わったと語っているのだから。