INSTANT KARMA

We All Shine On

バルス

ハチ:クマさん、何をそんなにニヤついてるんだい?

 

クマ:なんだ八っつあん、見てねえのかい、今朝のNHK「あさイチ」を!

 

ハチ:見てねえもなにも、あさイチは仕事だよ、クマさんみたいな自由業じゃないんだよこっちは。

 

クマ:そいつは失礼致し候。じゃあ後で録画したのを見せてやるよ。

 

ハチ:昨日クマが言ってた、のんちゃんが出てたんだろ?

 

クマ:そうそう。これがまた可愛いのなんのって。ピーマン食べるわすずさんの「あちゃー」やるわ絵本の朗読するわ、はに○と「バルス!」やるわ大サービスの内容だってもんよ。

 

ハチ:何だかよく分かんねえや。しかしネットでも大騒ぎのようだね。(スマホ見ながら)

 

クマ:ゲスト出演で映画や番組の宣伝でもするのかと思いきや、ホントにただのゲスト扱いだったのは意外だったね。それに全然「腫れ物に触る感」がなかったのが救いだったな。

 

ハチ:イノッチや有働アナは過去に何度もあの子をゲストに呼んでいて扱い慣れてるからね。

 

クマ:「のんが全国放送の地上波に堂々と出ている」こと自体のインパクトが凄かったにもかかわらず、ごく普通に進行することで「当たり前のことが起こってるだけ」という番組側のメッセージが伝わってくるような気がしたよ。

 

ハチ:民放が揃って及び腰の中でNHKがこれだけ踏み込んだ対応を取ってるのは何か理由があるのかね。

 

クマ:もともと体質的に芸能事務所の圧力を考慮する必要が少ないのかもしれないし、それ以上に彼女を是非とも起用したいというスタッフが多いってことじゃないのかな。何といっても「あまちゃん」のインパクトは未だに根強いだろうし。まるで前事務所との契約が切れるタイミングを待っていたような動きだよね。

 

ハチ:実際に切れたのは6月末だけどね。

 

クマ:7月からは独立後の体制作りの時期だったし、「この世界の片隅に」という大きな仕事が入ったからそれに集中したかった(させたかった)のかもね。

 

ハチ:(スマホでネットを見ながら)週刊文春のことも取り上げたんだって?

 

クマ:それなんだが、緩い企画やレポートが続く中で、いきなり「はに丸」が文春の編集部にブッコむというえらくエッジなことをやった、しかも「のん」がゲストのときに、ってのに何らかの意図を感じざるを得ないんだよ。

 

ハチ:よりによって文春ってのがポイントだよな。

 

クマ:周知の通り週刊文春は、有名人の致命的なスキャンダルを連発して「文春砲」と恐れられている存在だけど、こと「のん」に限っては「推し」の姿勢を一貫して崩していない。しかも前事務所と彼女の確執を詳細に報じた記事を巡って、事務所から名誉棄損で訴えられてもいる。

 

ハチ:言ってみれば「のん」にとっては味方のメディアであると同時に、前事務所にとっては敵側の立場なわけだ。

 

クマ:今回の取材は、NHKが文春に切り込んだという内容ではあったけれど、当然取材に当たっての「阿吽の呼吸」があって成り立つもので、両者の間に暗黙の合意があったとすれば、「のん」を巡る何かだとしか思えないんだよね。

 

ハチ:相変わらず穿った見方だね。

 

クマ:さらに穿った見方をすれば、今回の企画はNHKではなくて文春側から持ちかけた可能性もあると思ってるよ。

 

ハチ:何のために?

 

クマ:定期的に「のん」側の主張に基づいた記事を書いている文春にとっては、「のん」が天下のNHKに出ることは前事務所側を牽制する上で大きな意味があるだろう。裁判を有利に進めるためにも「のん復活」の既成事実を作りたがっているのは文春じゃないか。NHKにしたって彼女を早く使えるようになりたいという要望はある。この点で利害が一致した結果が今回の「あさイチ」だったんじゃないのかな。

 

ハチ:真相は部外者には知る由もないけれど、今日の番組が各方面への強力なメッセージになったことは間違いなさそうだね。

 

クマ:当の本人は何も知らない風でこれまでどおり飄々としていたがね。まだ以前のようなあどけなさを感じさせる一方で、俺なんかは久しぶりにテレビで見て、すっかり綺麗なお姉さんになったように感じたけどね。

 

ハチ:「あまちゃん」からもう3年も経つんだから当たり前だろうよ。

 

クマ:思えば3年も経つのに、彼女の人気とファンの渇望がまったく衰えないというのも凄いことだよ。今日の番組を見ただけでも、今の彼女は「あまちゃん」とはまた別の魅力を備えるようになっていると感じるよ。NHKが彼女を主役にしたドラマを企画していて、来年にはそれが実現すると信じたいね。

 

ハチ:ところで「バルス!」ってのは何なんだい? 

 

クマ:宮崎駿のアニメ「天空の城ラピュタ」に出てくる「崩壊」の呪文だよ。「はに丸」の声優をやった田中真弓さんはラピュタで実際にパズーの演者でもあり、のんがシータとなって二人でこの呪文を唱えたことは実は凄い事なんじゃないかと思ってるよ。この二人がバルス!を唱えることの意味、この呪文で何が崩壊するのか、その後に何が来るのか、深く考えれば考える程、偶然だとすればあまりにも出来すぎだし、スタッフがこれを狙ってたんだとしたら脱帽だね。

 

ハチ:あの子は「あまちゃん」のオーディションの前に受かりたくて呪文を使ったと言ってたからね。

 

クマ:なんで八ッツアンがそんなこと知ってんの?